昨年の
有馬記念で有終の美を飾った
キタサンブラックの清水久調教師が中山芝内回り2500メートルのコース形態についてこんなことを言っていた。
「横から見るのと、上から見るのとでは、全然印象が違いますね。上空から捉えた映像でスタート地点を見れば、どれだけ内枠が有利で外枠が不利かがよく分かります」
当舞台のスタート地点は外回りの3コーナー手前。つまりスタート直後がカーブになっているため、安全確保の観点から発馬機が内ラチから5、6頭分ほど空けたところに設置されている。ほかのコースでは基本的に内ラチから1頭分ぐらいしか空けていないのだから、いかに外に振ってあるかが分かるだろう。
「大外枠なんて、それこそ外ラチに近いところにありますからね。前に行く馬はもちろんですが、差し馬もかなりの不利になるんじゃないですか」
実際、
有馬記念は「内枠天国」だ。過去20年の(8)枠の複勝率はわずか7.5%。同じく外枠不利とされる東京芝2000メートルが舞台の
天皇賞・秋ですら9.3%なのだから、GIで最も外枠が不利なレースとしてもいいのかも…。
昨年、枠順抽選会で
キタサンブラックの
武豊が(1)枠2番を引き当てた時に「人馬ともに最後まで“持ってる”な」と感嘆したというトレーナー。まさに有馬は「持ってる陣営」が、好枠を引き当て、結果を出すレースと言えるのかもしれない。
では、今年の
グランプリで「持ってる」のはどの馬なのか? やたらと内枠ばかりを引き当てた
キタサンブラックほどではないが、
モズカッチャンも、実はなかなかの“好枠ホース"だ。
未勝利を勝ち上がった後から、前走の
エリザベス女王杯(3着)までの10戦の馬番が7・1・1・2・4・5・5・1・15・7番。2桁馬番がたったの1回だけというのはかなりの強運と言えるだろう。
「最近で外枠になったのって
札幌記念(3着)だけか。確かにそういう意味では持ってる馬ですよね。内枠じゃなかったら、GI(昨年の
エリザベス女王杯=5番枠)も勝てていたかどうか分からないですし…」
実はこの発言の主・古川助手も持ってる人間で、トレセンに入って初めて担当したのがこの
モズカッチャン。いきなりその馬でGIを勝ったのだから、かなりの強運だ。
エリザベス女王杯勝ち馬で、外国人騎手が騎乗し、競馬が器用でいかにも中山が合いそうな伏兵馬…。どことなく、昨年8番人気で2着に好走した
クイーンズリングとダブる、この
モズカッチャンの激走を期待している坂路野郎。とりあえずは20日に行われる枠順抽選会で、この“持ってる馬"がどの枠を引き当てるかに注目している。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ