この平成14年の
有馬記念で1番人気の支持を集めたのは3歳牝馬
ファインモーション。デビュー以来6戦6勝で
秋華賞、
エリザベス女王杯を制し、ここに駒を進めてきた。2番人気は、3歳で
天皇賞・秋を制した
シンボリクリスエス。古馬の総大将
ジャングルポケットが3番人気で、この3頭の単勝が5倍を切り、3強対決の様相を呈していた。
ゲートが開くと12番枠から
ファインモーションが絶好のスタート。ハナを窺う勢いだったが、内から佐藤哲三が手綱を取る伏兵
タップダンスシチーが気合いをつけて先頭に立つ。
ファインモーションは2番手に控え、
ナリタトップロードと
コイントスが3、4番手を並んで追走し、
シンボリクリスエスは6番手の内という絶好位をキープ。
1周目のスタンド前、大歓声に抑えきれない感じで
ファインモーションが先頭に立つ。しかし、一旦は3馬身ほど差をつけられた
タップダンスシチーが、再度、差を詰めていき、向正面で先頭を奪い返すという出入りの激しい競馬となる。
3コーナーでは5馬身近いリードを奪った
タップダンスシチーが軽快に飛ばし、大きなリードを保ったまま直線へ。2番手の
ファインモーションは伸びを欠き、残り100m地点でも
タップダンスシチーのリードは3馬身。これはセーフティリードか!? その
タップダンスシチーを目がけて、ただ1頭、追い込んできたのが
シンボリクリスエスだった。残り50mから猛追し、半馬身捕えてゴール。3歳での
有馬記念制覇を達成した。内を捌いた
コイントスが3着に上がり、
ファインモーションは5着。
シンボリクリスエスの強さ、内で我慢したペリエの胆力も見事だったが、それ以上に、自分のリズムを貫きレースを完全に支配した佐藤哲三の手綱捌きが印象に残る一戦だった。
タップダンスシチーは、このレースが端緒となり、「肉を切らせて骨を断つ」
スタイルを確立。この後、名馬への階段を上っていくこととなる。