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上位拮抗ハイレベルな争い制したノーヴァレンダ/全日本2歳優駿回顧(斎藤修)

  • 2018年12月20日(木) 18時00分
「このレベルの馬に来られたら地方の馬では勝負にならない」

 レース後、南関東のある調教師の言葉だが、今年の出走馬、特に中央勢のレベルの高さは近年との比較でもワンランクアップと言えるものだった。

 昨年このレースを制したルヴァンスレーヴは、その後の1年で古馬も含めた日本のダートチャンピオンとなったが、今年はそのレベルになる可能性を秘めた馬が複数頭いた、と言ったら言い過ぎだろうか。それはもちろん今後の成長次第ということにもなるのだが。

 中央5頭のうち4頭がここまでダートで底を見せていないという成績で、人気も拮抗。その4頭が上位を占める結果となったが、その順位は、ここまでの完成度と、川崎コースに対応できたかどうかの違い。能力にはそれほど差がなかった。

 ノーヴァレンダは好スタートからピタリと2番手つけた。主張してハナに立った北海道のイグナシオドーロをマークする形。1〜2コーナーを回るところでペースが落ちるのは川崎マイル戦の特徴。その後、向正面では中間あたりから徐々にペースアップしていくのが普通だが、ノーヴァレンダは向正面に入ると抑えきれないような手応えで、すぐにペースを上げた。突かれる形になったイグナシオドーロにとっては、このタイミングで来られたのではたまらない。結果的に最下位に沈んだ。

 勝ったノーヴァレンダ陣営の懸念は、コーナーをうまく回れるかどうかにあった。阪神ダートのデビュー戦では、1コーナーを回れず外に逃げてしまい、そのまま競走を中止していた。それがコーナーのきつい川崎ともなればなおさらだが、最初の1コーナーからうまくクリアしていた。その1コーナーでは内の何頭かがごちゃつく場面もあったので、それを考えると外目の枠は幸運だったともいえる。

 勝ちタイムの1分42秒8は、昨年のルヴァンレーヴより1秒2かかっているが、この開催はかなり時計を要していたので、ルヴァンスレーヴの当時の能力との比較でも、タイム差ほどの能力差はないように思われる。

 父ダイワメジャーの産駒は多くが芝での活躍だが、ダートグレード勝ちはブルドッグボス(浦和)のクラスターCに続いて2頭目。そのほか初年度産駒のメジャーアスリートに2011年の全日本2歳優駿2着があり、ノーヴァレンダの全姉ブランシェクールレディスプレリュードTCK女王盃でともに2着という活躍があった。

 1番人気の支持を受けたガルヴィハーラは、勝ち馬と同じ7枠(11番)で、不利もロスもなくレースを進め、3〜4コーナーで馬体を併せたものの直線で振り切られた。

 惜しかったのはデルマルーヴル。スタートダッシュがよくないのは相変わらず。最初の直線では馬群の内に入って位置を取りに行こうとしたところ、1コーナー手前で窮屈になって位置取りを下げざるを得ず7番手あたりからの追走になってしまった。さらに直線半ばでは内に刺さる場面があった。ゴール前の勢いでは完全に勝っていただけに、そこでまっすぐ走っていれば差し切っていたかもしれない。

 2番枠のメイクハッピーは好位につけたものの馬群に囲まれてしまった。前走カトレア賞では好スタートもあえて控える競馬をしていたが、馬群で揉まれる競馬は初めて。行きたがる素振りを見せるなどスムーズにレースが運べなかった。これまでの2戦と同じ左回りの1600mでも、コーナー4つの競馬は勝手が違った。

 地方馬では、北海道2歳優駿イグナシオドーロとハナ差で1、2着を争ったウィンターフェルが5着、鎌倉記念圧勝で期待されたミューチャリーが6着。冒頭のとおり高いレベルで上位拮抗の中央勢相手ではいかにも厳しかった。

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