キセキの充実ぶりはこの秋から冬にかけて何度も書いてきました。いいコンディションを維持する、ということの難しさを感じると同時に、それをこれまで以上に
パーフェクトに実現している姿に陣営の職人芸を感じます。
ホント、
ジャパンカップの直前と変わらない雰囲気なんです。今季4走目、しかも毎回速いタイムでの決着に食らいついてのローテーション。さらにレコード決着の
ジャパンカップでの反動など、下降線を示しても何ら不思議ない条件にもかかわらず、です。担当は清山助手も充実した表情で語ります。
「こればかりは走らせてみないとわからない部分もあります。でも、JCの時と同じ状態…なのに欲目で見れば“さらにもうひとつ上”を感じさせることがあるのも事実なんですよ」
毛ヅヤのよさ、カイ食いのよさ、歩く姿のキビキビ感、ほどよい落ち着き、など。ホント素晴らしい。
「調教での時計も、他馬に比べて速くなったときも、この子のリズムで走れていれば問題ないです。大事なのはコミュニケーションがきちんととれているかどうか。それがすごく大事ですから。そして、競馬が近いことをわかってくれているのか、こちらが心配するよりもドッシリ構えてくれています。それでいて細やかな緊張感もあるんです」
仕上げに蹄油をしっかり塗って馬房におさまった後も、真ん丸な瞳をこちらに向けている
キセキ。確かに、そういった大物感を感じさせます。まさに充実一途、です。
「それでもやはりいろいろ心配してしまうところはあります。
有馬記念が終わったとき『それは杞憂に終わりました』と言えるように、と思っています」
(取材・文:花岡貴子)