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きさらぎ賞を裏の裏まで知り尽くしている池江師が送り込むダノンチェイサー/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2019年01月30日(水) 18時00分
 今年のGIIIきさらぎ賞(2月3日=京都芝外1800メートル)は「ショボい」という声を聞く。それはメンバー構成ではなく、出走頭数の話。登録段階で11頭、しかも回避馬が出そうな状況では「重賞の体面を保てない」ということらしいが…。きさらぎ賞は、そもそも少頭数で行われるレース。過去10年の最高頭数は2012年の13頭で、平均すると9・8頭にすぎない。それでも、きさらぎ賞が「クラシックの登竜門」と呼ばれているのには理由がある。

 12年ワールドエース、14年トーセンスターダム、16年サトノダイヤモンドで、きさらぎ賞を過去に3勝している池江調教師は「クラシックを狙っている馬で、なおかつレース間隔を空けたいタイプにとって、きさらぎ賞は出走させたくなるレース」だという。それは、なぜか?

「クラシック、特にダービーを考えた場合、この時期の3歳馬には最後に脚を伸ばす競馬を教えたい。それだけを考えるのなら共同通信杯でもいいんだけど、この時期の3歳戦はスローペースになりやすいでしょ? スローで流れた東京の競馬は、どうしても馬群が固まってしまうから、さばき切れずに脚を余す状況が起きやすいんだよね。一方、きさらぎ賞は直線で馬群がバラける京都外回りのレース。上がりだけの競馬になっても、能力のある馬なら勝ち切れる可能性が高いんだよ」(池江調教師)

 勝ち切れる可能性が高い――。このフレーズこそが重要だ。池江キュウ舎は次週の共同通信杯クラージュゲリエを出走させる予定だが、そこには単なる“使い分け”ではない理由が存在していた。

クラージュゲリエは前走の重賞(京都2歳S)勝ちでクラシックにおける賞金面の問題をクリアした。だから本番前に東京コースを試すことができるわけ。ウチのキュウ舎では毎年のように、きさらぎ賞に出走させてきた(初挑戦の09年ダノンカモンから計8頭)。そのほとんどがダービー出走を確定させていない賞金の馬。

 先ほどの話も、ここにつながっていてね。経験は積めなくても、長距離輸送などの負担がない京都のきさらぎ賞で賞金加算を狙う。そこをクリアできれば、ダービーから逆算したローテーションを組めるようにもなる。

 ちなみに、きさらぎ賞を勝ったウチの3頭はすべてディープインパクト産駒。軽い京都の芝が合うタイプと分かっていたからこそ、狙っていけたというのもあったよね」

 今年の出走予定馬もディープインパクト産駒ダノンチェイサー。トップトレーナーにわずかな誤算があるとすれば、最後の部分だろうか。

「例年と違って現在の京都は時計がかかるタフな芝。本当は同じディープインパクト産駒サトノルークスとで2頭出しの予定だったんだけど、そんな経緯もあって1頭のみの参戦になった」という決断には、きさらぎ賞を知り尽くしているからこその重みがある。

 そんな状況での施行になっても、きさらぎ賞は、きさらぎ賞。この一戦からクラシックに向かう馬は確実に現れる。

「もちろん、クラシックに向けての賞金加算は狙っているけど、今回は距離面の課題をクリアする意味合いもある。ダノンチェイサーの母系は短距離系。過去に2回出走した1800メートルのレース(未勝利戦1着、きんもくせい特別2着)では上手に走ってくれているけどね。きさらぎ賞で結果を出してくれれば、2000メートルの皐月賞だけではなく、その先も見えてくるから」と池江調教師は締めくくった。

 例年とは違う状態の芝であってもディープインパクト産駒なのか?

 それとも別の種牡馬が台頭するのか? 課題を与えながら、結果も求められる一戦という陣営の思惑も含めて考えれば、やはり頭数に関係なく、見どころ豊富。今年も注目すべきレースであることに何ら変わりはない。

(松浪大樹)

東京スポーツ

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