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JRA授賞式で見た人と馬を育てるチーム国枝の強さ/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2019年01月31日(木) 18時00分
「人は馬を育て、名馬はさらに人を育てる」

 それを当方に再認識させたのが、28日に取材を兼ねて出席させてもらったJRA賞授賞式だ。式典で最大の喝采を浴びたのは年度代表馬に選出されたアーモンドアイの関係者だったが、感心させられたのは自然体たるその振る舞い。壇上の国枝栄調教師が「やはり女性なので、デリケートな扱いを心掛けています」と笑いを誘えば、番頭格の佐藤勝美助手は「勝てば勝つほど身近にいたアーモンドアイが遠くに行ってしまう印象もあって…」と寂寞たる心境をポロリ。衆目を集める中でも普段と変わらぬ姿勢は、築き上げた“国枝プライド”を象徴するように思えた。

 そんな中で宴会野郎の目を引いたのは、新規調教師の研修講義を終えた後、おっとり刀で駆けつけた宮田敬介調教師だった。彼との付き合いは田島俊明キュウ舎の調教助手時代からだから10年近い。当初から一次試験は突破していただけに、転身までに意外と時間を要した感もあるのだが…。名牝誕生と並行しての合格は、今後のトレーナー人生を考えれば非常にラッキーだったかもしれない。

「この一年はいろいろと学ばせてもらいましたね。アーモンドアイにはゲート合格前に何回か乗っただけですが、当初は牧場の評価もさほどでなく、自分としてもここまで素晴らしい馬とは思わなかった。第一印象や直感に頼り切ることがいかに危険か、まずはあらゆる可能性を信じることの必要性…それを彼女が教えてくれました」

 パーティー会場で晴れ晴れとした表情で語った宮田くん。国枝流の競走馬へのアプローチを目の当たりにした経験も、おそらく大きな財産のひとつとなるに違いない。

「ひづめを傷めた秋華賞はぎりぎりの状態で出走しての3冠達成でしたから。内心、スタッフは回避も覚悟したほどですが、先生はあきらめず様子を見ようと僕らを鼓舞してきた。普段は出走に慎重で小さな不安でも回避を決断する先生が、あの時だけは違いましたよ。馬の回復力と担当する根岸くんの力を信じていたんでしょう。“チーム国枝”の強さをまざまざと見た気がしましたね」

 今年の始動戦となるドバイターフ、そして秋に参戦するであろう凱旋門賞にも「ぜひとも帯同して勉強させてもらいたい」と目を輝かせた若きトレーナー。日本のホースマンの育成という分野でも、アーモンドアイの挑戦が多大な功績を果たしてくれることを願いたい。

(美浦の宴会野郎・山岡隆司)

東京スポーツ

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