木原調教師は最近、ありとあらゆるところにお参りに行ってきたという。今年に入ってから厩舎が散々な目に遭ってきたからだ。年始からのわずか開催7日間で、競走中止により、競走馬登録を抹消した馬が2頭。さらに1番人気に支持された馬が10着に大敗するなど、人気になってもまったく勝てず…。
「こういうときは何をやってもダメ。どうやったら負けるのかっていうような馬が、スタートで挟まれたりして簡単に負けちゃう。今年はどうなることかって…。ホント、参ったよ」
もっとも「明けない夜はない」との言葉通り、“凶風”は2開催目でその向きを変えた。先々週1勝、先週2勝で計3勝。これこそが勝負事の“流れ”なのだろう。
木原調教師に限らず、誰しも年始は好スタートを切りたいもの。特に年明け開催に力を入れているのが宮本調教師で「自分の性格がせっかちだから、毎年1月は“早く勝ちたい”気持ちが強い。勝てそうな馬をあえて年末から取っておいたりすることもあるくらい」とか。実際、月別の勝ち鞍、勝率、連対率すべて1月がトップというのだから恐れ入る。
そんな1月に強い宮本厩舎が、今年はスタートで出遅れた。2開催目の先々週(1月27日)にようやく2勝したばかりなのだが…。木原厩舎と同じように、ここで“潮目”が変わったとみたい。
「
京都記念の
ノーブルマーズはチャンスだと思っているよ。
アルゼンチン共和国杯(9着)は急仕上げ、
ジャパンC(13着)は素直に相手が強過ぎた。やっと普通の状態に戻った前走(
日経新春杯4着)では見せ場をつくってくれたからね。昨年の
クリンチャーはGI馬がいっぱいいて、強気にはなれなかったけど、結果的には勝てた。今年はメンバー的にちょっと楽しみ。今の時計がかかる京都の芝もこの馬にはプラスでしょう」
過去6勝を挙げている
JRA重賞のうち、半分の3勝が1〜2月に集中している宮本厩舎。
クリンチャーに続き、
ノーブルマーズで
京都記念連覇となれば、年明けから力を入れる厩舎の本領発揮ということになりそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ