17日に東京競馬場で行われる
フェブラリーS(4歳上・GI・ダ1600m)、今年注目されているポイントの1つが、
コパノキッキング鞍上の
藤田菜七子騎手のGI初騎乗。そこで今週は「騎手のGI初騎乗」をテーマに、当時の競馬界やレースを振り返ってみる。今回はGI初騎乗で競馬史に残る偉業を達成した
熊沢重文騎手。
■当時の最年少GI勝利記録
1986年にデビューし、平地・障害でダブル200勝(合わせて1000勝超え)という唯一無二の“二刀流”で知られる
熊沢重文騎手。1991年、単勝万馬券の
ダイユウサクで制した
有馬記念と同様、ファンにとって非常に強い印象を残したのが、その「GI初騎乗」の舞台だった。
栗東・松田博資厩舎所属の
コスモドリームは、熊沢騎手とのコンビで1988年に明け3歳(現在の馬齢表記)でデビュー、最初の3戦はダート戦だった。
オークスの直前2戦では岡潤一郎騎手が手綱を取ったが、GIに騎乗するための条件である「通算31勝」に満たなかったため、再び熊沢騎手とのコンビで
オークスの舞台を迎えた。
チューリップ賞での発走直後の落馬競走中止以来となる2戦振りのコンビを組んだ
コスモドリームと熊沢騎手は、22頭立ての10番人気という評価。人気となっていたのは
桜花賞馬
アラホウトク、
武豊騎手騎乗の
シヨノロマンなど。
出遅れ癖のあった
コスモドリームはここでもスタートが良くなく、発走直後はほぼ最後方。そこから向正面で徐々にポジションを押し上げ、外を回って直線では雨の中を堂々と抜け出す。最終的に同じく伏兵11番人気だった
マルシゲアトラスに1.1/2馬身差をつけての優勝、人馬ともにGI初挑戦初勝利となった。熊沢騎手の20歳3ヶ月という年齢は、当時の最年少GI勝利記録(その後
武豊騎手が
菊花賞の
スーパークリークで更新)でもあった。
また、このときの熊沢騎手にとってはGI初騎乗であるのみならず、東京競馬場自体がこのレースで初の経験であった。その後、このコンビは夏の高松宮杯で古馬に挑戦し
オグリキャップの3着になるなど、
オークスがフロックでなかったことを証明していく。