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アウィルここは叩き台?いやいやそんな単純なものではなく…/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2019年03月06日(水) 18時00分
 同じ桜花賞トライアルでも、チューリップ賞フィリーズレビューでは趣がかなり違う。

 本番と同じ舞台で行われるチューリップ賞は、桜花賞を“勝ちたい馬”が出走してくる傾向が強く、今年も阪神JFの覇者ダノンファンタジーが始動戦に選択して快勝。どうしてもメンバーが強くなるため、フルゲートに満たない頭数でも、桜花賞の出走権獲得は難しくなる。

 一方、フィリーズRは桜花賞に“出走したい馬”が出てくるレース。大挙して登録してきた2勝馬のほとんどが、出走権の発生する3着以内を全力で取りにくる。距離の違いはわずか200メートル。しかし、この200メートルの違いが大きく、コース形態も外回りの桜花賞と異なる内回り。本番での好走を意識するのであれば、走らせる理由はほとんどない。

 にもかかわらず、すでに桜花賞への賞金ラインを満たし、本番を想定した形で前哨戦を走れるはずのアウィルアウェイが、先週のチューリップ賞を選ばず、阪神芝内回り1400メートルのフィリーズR(10日)を選択してきた理由とは?

 そこには4か月ぶりのレースに挑む、苦しい胸の内がある。

「左前の捻挫で阪神JFを回避。帰厩してからの調整は順調とはいえ、1週間でも多く時間が欲しいという気持ちはありますね。それにアクシデント明けを考えれば、走り慣れた1400メートルのほうがいいのではないか、と。もちろん、この後は桜花賞に向かう予定なんですが、1400メートルに対する適性の高さはすでに示していますから」(高野調教師)

 まずは安全に始動させたい――。そんな陣営の言葉を聞けば、今回はあくまで叩き台。信頼度はそこまで高くないようにも思えてしまうが、持っているポテンシャルは相当高い馬。桜花賞での勝ち負けではなく、“出走を目標にする馬たち”が集まったレースなら、力でねじ伏せてしまうシーンは十分に考えられる。

 実際、トレーナーの発言はネガティブなものも少なくないのだが、そのすべてを「計り知れないポテンシャルで凌駕してくれないか…。やはり期待している部分がかなりある」のひと言で打ち消した。使うレースはフィリーズRでも、この馬は紛れもなく、桜花賞を“勝ちたい馬”なのだ。

ジャスタウェイ産駒ですが、入ってきたときから肉体的に完成していましたし、僕はこの馬に対して“晩成”というイメージを持っていない。では完成し切っている馬なのかとなれば、それも違っていて。例えばレースでは必ず出遅れてしまうし、競馬も上手ではありません。今回は多頭数の内回りという難しい条件を走りますから、仕上がりうんぬんよりも、そちらのほうを気にしているくらいなんです。

 だからこそ、この一戦をどのように走ってくれるのか。それによってフルゲートになる桜花賞での期待も高まると思います。マイル戦ではないレースでも走る意味は少なからずあるんですよ」

 アウィルアウェイの半兄はマイル路線で覚醒中のインディチャンプ。あの馬の父がステイゴールドであることを考えれば、この血統は母系の影響が相当強いと考えられる。高野調教師も「オークスというイメージは持てない。勝ちたい、勝たせたいと考えているのは桜花賞です」

 先週のチューリップ賞桜花賞の前哨戦はすでに終わった――。そんな声をシャットアウトするような、アウィルアウェイの痛快な走りを期待したい。

(松浪大樹)

東京スポーツ

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