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アネモネSで飛躍願う1頭「ガソリン切れのアーモンドアイ」レッドアステル/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2019年03月07日(木) 18時00分
 女性騎手減量新ルールが適用された先週、現在唯一の当事者である藤田菜七子がさっそく小倉で勝利(通算51勝目)を挙げた。勝ち馬(アラスカノオーロラ)の管理者・小島茂之調教師は「(3キロ減は)僕らも狙っていたこと。今後(新ルール)は彼女の騎乗を斤量が後押しするのは間違いない。(新人と)4年目の3キロ減は全然違う」。この言葉からも、有力馬の依頼が増加するのは必至だろう。それでも…。

「ありがたいことですが、今まで(男性に)負けたくないという気持ちでやってきたので…。複雑です」

 こう明かした菜七子の心境は理解できる。デビューから注がれ続けるのはジェンダー的な関心。もっかの話題は技術より斤量面。描く理想に到達し切れないジレンマが、言葉の端々に見え隠れする。おそらく彼女が欲する肩書は「女性騎手・菜七子」ではなくシンプルな「藤田騎手」なのだろう。その道のりは険しくとも、チャンスを生かし続ければ道は開けるに違いない。

 さて、今週中山の土日(9、10日)メインもその立ち位置はなかなか「複雑」だ。土曜・中山牝馬Sグレード制導入後、優勝馬によるGI制覇が皆無。その後に重賞を勝った馬も、近10年では15年バウンスシャッセ(愛知杯)、11年→12年連覇のレディアルバローザしかいない。非出世レース…とまでは言わないが、将来性は不問の舞台。とにかく「旬」を買うべき一戦だ。

 一方、日曜・アネモネSも存在意義は微妙だ。中山施行に変わった00年以降、優勝馬の桜花賞成績は01年ダイワルージュ、08年ソーマジックの3着が最高。今年の登録馬17頭がすべて1勝馬という現実が、本番と乖離するトライアルであることを象徴している。

 それでも飛躍を期待したい駒はいる。「この馬はガソリン切れのアーモンドアイ。素材はいいんだけど…」と佐藤勝美助手がデビュー前に語っていたディープインパクト産駒レッドアステルだ。中山千六の初陣は好位3番手からスッと抜け出して完勝。センスの良さはもちろん、その走りは数字以上のスピード感にあふれていた。

「まだまだ食いが細いのがネックだね。しっかり食べてしっかり稽古ができれば、かなり上まで行けるはず。その意味で相当物足りなさを感じるけど、1勝馬同士ならヒケは取らないのかな」と佐藤助手。依然としてシビアなジャッジだが…。

“ガソリン切れ”の肩書さえ取れればゆくゆくはGI級。まだ理想に遠い姿でも、勝つことにより同馬の未来も開けるはずだ。

(美浦の宴会野郎・山村隆司)

東京スポーツ

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