GI馬5頭が顔を揃えた第55回
金鯱賞のゲートが開いた。
昨年のダービー以来9カ月半ぶりの実戦となった1枠1番
ダノンプレミアムが勢いよく飛び出した。
「ゲートは毎度得意なので、今回もいいスタートを切ってくれましたね」
騎乗した
川田将雅はそう振り返る。
タニノフランケルがハナを主張し、
ギベオン、
ムイトオブリガードがつづく。それらを行かせ、
ダノンプレミアムは内の4番手で折り合いをつけた。
「自分のリズムで終始した結果、あの位置取りになりました」と川田。
1番人気の
エアウィンザーはそこから2馬身ほど後ろの中団につけている。
タニノフランケルが単騎で逃げ、前半1000m通過は1分1秒0。雨のため稍重となった馬場状態を考えても、ややスローか。
タニノフランケルが先頭、
ギベオンが2番手のまま馬群は4コーナーを回り、直線へ。
ラスト300m付近で
ギベオンが
タニノフランケルをかわして先頭に立った。が、それは一瞬だった。前がクリアになった
ダノンプレミアムが川田の右ステッキを合図に外から並びかけ、そして抜け出した。
「手応えよく直線に向いて、これならいい動きをしてくれるだろうなと思っていたら、期待どおりに伸びてくれました。あらためてこの馬のポテンシャルの高さを感じましたね」と川田。
外から
リスグラシューが猛追してきたが、川田と
ダノンプレミアムには余裕があった。
川田が後ろの脚色を確認すると、
ダノンプレミアムは最後の5完歩ほどを流すようにして、先頭でゴールを駆け抜けた。
1馬身1/4差の2着は
リスグラシュー。3/4馬身差の3着が
エアウィンザー。2馬身半差の4着は
ペルシアンナイト、1馬身半差の5着が
アルアインだった。
強い世代で、1度は王座についた馬が、復帰戦で圧倒的な力を見せつけた。
「久々のぶん、とても走りたがるところがありましたが」という川田の言葉は、久々のハンデがなくなる次走以降のより大きな期待を感じさせるものだった。
(文:島田明宏)