単勝1.4倍という断然の支持を受けた
チュウワウィザードが、2着に4馬身差をつける完勝。あらためてダート長距離に対する適性の高さを見せた。
スタート後、どの馬が行くのかというお見合いとなり、ならば自分が行くしかないという感じで
オールブラッシュがレースを引っ張ることになった。それでレースがやりやすくなったのが
チュウワウィザード。最内枠だったこともあり、スタート直後は自然な感じで一旦先頭に立つ場面もあったが、他の馬が行ってくれるのを待っているような感じだった。
オールブラッシュはペースを落とせるだけ落としての逃げだが、鞍上の田辺騎手は折り合いをつけるのに苦労もしていた。手綱をぐっと引いて、2周目の向正面に入ったあたりでは背中を丸めるような格好だった。
見るからにスローで、前半は13秒、14秒台のラップが続いて1200m通過が1分20秒7というのはいかにも遅い。それでも2番手を追走した
チュウワウィザードは、まったく掛かるようなことはなく完璧に折り合った。
一方、
ミツバはと見れば、1周目の3コーナーあたりから口を割っていて、最初のスタンド前では、
チュウワウィザードを前に置いてなんとか折り合いをつけようと苦労しているようだった。
中間からペースが上がって13秒台前半から12秒台後半のラップが続き、後半1200mは1分16秒6。前半より後半が4秒1も速い、典型的な後半勝負。3コーナーから中央4頭+
サウンドトゥルーという人気上位5頭の争いに絞られ、直線を向いて前をとらえた
チュウワウィザードがあっさりと突き放した。
勝ちタイムは2分37秒3。
ダイオライト記念が中央との交流になった1996年以降の24回で、2017年
クリソライトの2分37秒8に次ぐ2番目に遅い勝ちタイムだったことでも、いかにペースが遅かったかがわかる。
勝ち馬は別格として、直線で伸びている感じがあったのは
アポロケンタッキーだけ。実績馬5頭の中ではもっとも人気を落としていたが、栗東坂路の1週前追い切りで、50.1- 36.7という好タイムは、調子が上がっていると考えるべきだったか。さらに船橋コースは、これで4戦して1勝2着3回というコース適性もあった。
オールブラッシュは、折り合いに苦労したとはいえ、さすがに超スローペースの逃げに持ち込んで3着に粘った。
川崎記念で7歳にしてGI/JpnI初制覇を果たした
ミツバだが、折り合いに苦労するほどのスローペースは、この馬には向かない。直線を向く前にすでに余力はなかった。ある程度レースが流れ、勝負どころから長く脚を使うようなスタミナ勝負で能力を発揮するタイプゆえ、今回のような流れは難しい。
サウンドトゥルーは、スローな流れと見て早めに先行有力勢の集団にとりついたが、直線でも見せ場はなかった。さすがに9歳という年齢で全盛時と同じようなパフォーマンスを求めるのは酷だが、いくらスローに流れたとはいえ39秒0という上りは物足りない。ただこの馬にとっての幸運は、今の南関東は(地方全体でもそうだが)、マイル以下の路線は層が厚いが、2000m前後かそれ以上の路線は層が薄くなっていることだろう。