今週の栗東は19日、20日と調教開始前の気温は低めだったが、21日は調教開始前から13℃とかなり気温が高い。雨が降りそうな天気だったことも関係しているかも知れないが、これからは少しずつ春が近づいてくるといった感じだろう。
それに伴って、機敏な動きを見せる馬も多くなってきた。そろそろ冬場だと結果が出ない馬たちが動ける季節。このあたりは月別成績などを見ることで予想に役立てていきたいところ。
【坂路/4F51.9秒】
3月20日。一番時計は
モズスーパーフレア(栗東・
音無秀孝厩舎)の4F49.2秒。こちらは
高松宮記念(3月24日・中京芝1200m)でも上位人気に推されるであろう快速馬。とはいえ、この馬にとっても自己ベストを更新する時計なのだから、走りやすい馬場だったことは間違いない。
4F49秒台はこれ以外に3頭。その中で4F49.9秒だった
アスタースウィング(栗東・
中竹和也厩舎)は2F目に11.6秒という速いラップを踏みながらも、4F目が13.1秒とさほど失速していない。一度スピードに乗ってしまえば、それを持続しやすい馬場だったという認識でよいだろう。
3月21日。馬場自体は前日と変わりなし。それは一番時計が4F49.1秒だった
メイショウタイシ(栗東・安田隆行厩舎)の数字からも理解できる。追い切り頭数がかなり少なかったのに4F52秒以下が10頭以上というのはここ最近の木曜日でも珍しい。
先週の馬場差は「-0.9秒」。ここ最近は速い時計が出る馬場ではあるが、今週はそれ以上といった印象もある。よって馬場差は『-1.0秒』で20日、21日とも記録している。
【CW/5F66.0秒】
3月20日。好天ということもあり、走りやすい、時計の出やすい馬場を想定していたが、朝一番はさほど速い時計は出ていなかった。乗り手の話では少し走りにくい馬場ということだったが、天候からは時計を要する理由は特になかったと思われる。
1回目のハローが終了すれば、ある程度時計が出ることもあるが、この日もそんな感じ。時間が経つにつれて、速い時計が出るようになっていったので、馬場自体は決して悪いわけでないだろう。
朝一番で抜けて素晴らしい動きだったのは
ケイデンスコール(栗東・安田隆行厩舎)。前走
朝日杯FSの時はCWの追い切りで良い印象を持たなかったが、ようやく
新潟2歳Sを勝った頃の雰囲気が戻ってきた。個人的にはまだ右回りにおける信頼度が低いものの、前走のようなことはないはず。
時計が遅いところでは
ナムラシェパード(栗東・
大橋勇樹厩舎)。併せた相手が動かなかったことがあるにせよ、最後の直線は引っ張るのが大変なくらいの手応え。3F41.8秒だから、あの手応えで当たり前という判断もできるのだが、重要なのはゴール直前で手綱を緩めた時の伸び。しっかり我慢できていたから、GO
サインが出るとたまっていた脚を使うことができるのだろう。
3月21日。調教時間開始前と調教時間中に雨は降っているものの、馬場に影響を与えるほどではない。馬場状態としては前日と変わりないし、むしろ追い切り頭数が少なくなった分だけ、馬場は荒れていない印象すらある。
今の3歳未勝利には未出走馬が出てくるケースも多々あるが、それでも十分通用すると思わせる走りを見せたのが
クロウエア(栗東・
羽月友彦厩舎)。3頭併せだったが、最後の直線で追い出されると、他2頭を置き去りにする伸び。時計は6F84.0秒と平凡に思えるが、併せ馬でしっかり動けた点が評価できる。
先週の馬場差は「-1.0秒」。今週も馬場差としては先週とさほど変わらない。よって、馬場差は『-0.9秒』で20日、21日ともに記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は20日に前日ニュースでもお伝えした
ワグネリアン(栗東・
友道康夫厩舎)の
大阪杯(3月31日・阪神芝2000m)に向けた追い切りなどが行われている。
そして、21日は
高松宮記念に向けて、
ミスターメロディ(栗東・
藤原英昭厩舎)が最終追い切り。3コーナーから入場して、
福永祐一騎手が跨った単走だったが、前半しっかり我慢して、最後の直線でしっかり脚を伸ばす走り。
さすがに芝馬場は雨の影響を受けて、少し緩さもあったが、それもお構いなしの力強い走り。時計は5F64.7〜4F48.4〜3F34.7〜1F11.1秒で、状態の良さを感じる動きだった。なお、馬場差としては20日、21日とも『±0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場での追い切り頭数はここ最近では一番多い。馬場状態としては、特に大きな変化がないので、馬場差に関しては、20日、21日とも『+0.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)