2桁着順のオンパレードだったころとは別馬かのように、ワンサイドゲームの3連勝を決め、一気にオープンまで上り詰めた
ヒロシゲゴールドに驚かされた競馬ファンは多いと思う。その劇的な変身理由はブリンカー&
シャドーロールの着用と言われているが…。
「確かにそれもあるけど“いろいろなことがかみ合った”と言ったほうが正しいかな。思い切って休養を入れたことで緩かった馬体がしっかりしたのもあるし、それまで後ろから競馬をしていた馬を(松田)大作が前に行かせたのもいいほうに出た」とは管理する北出調教師の弁だ。
「もともと
ブリーズアップセールでいい値段(2500万円=取引馬の中で4番目の高値)だった馬で、稽古もやれば動いたから。ようやく持っていた能力を出せるようになったということ」
試行錯誤の末に、能力を結果に反映させるための最善策が見つかったということなのだろう。
能力があるのに、それを出し切れない――。競走馬にはよくある話だ。
皐月賞を制した後、善戦はするものの、勝ち切れない競馬が続く
アルアインも、広い意味ではそのカテゴリーに入ろうか。
「馬がズルくなって走り切っていない」(池江調教師)との理由で、前走の
金鯱賞では
ヒロシゲゴールドと同じくブリンカーを着ける策を取ってきたが、結果(5着)はあまり変わらなかった。
「前回は特に走っていない感じでしたね。ケロッとしていて、疲れた様子は全然なかった」と音瀬助手。その原因は2つ。
まず騎乗予定だった北村友がレース前日に落馬で負傷し、乗り替わりになったこと。「急なことだったので、馬の癖とかも柴山さんは分かりづらかったと思います」
もうひとつは枠順だ。「この馬がいい競馬をしているときは、馬群の中から抜け出す形が多い。そのほうが集中できるんでしょうね。前走は外めの枠というのも良くなかったと思います」
大阪杯では前回、乗るはずだった北村友が騎乗する。「前走時に、中間の調教に乗って“こうしたほうが真面目に走ってくれるんじゃないか”とか、いろいろ考えてくれていたんです。それをこのレースで出してくれたら」(音瀬助手)
シャケトラ、
スマートオーディンなど、「実力馬の復活勝利」という今年のトレンドに乗って、
皐月賞馬が約2年ぶりのV…そんなシナリオを期待している。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ