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【勝負の分かれ目 大阪杯】馬の気持ちに乗るかのような、北村騎手の好騎乗。アルアインに2年ぶりの勲章をプレゼント

  • 2019年03月31日(日) 20時00分
 GI馬8頭が顔を揃えた第63回大阪杯のゲートが開いた。

 14頭の出走馬は、ほぼ横並びのスタートを切った。

 正面スタンド前で、4番エポカドーロがハナに立った。

 外から6番キセキ、13番スティッフェリオらが迫ってくるが、1馬身ほどのリードを保ったまま1、2コーナーを回った。

 昨年の皐月賞馬が引っ張る流れのなか、一昨年の皐月賞馬で、3番枠から出たアルアインは、内の4番手につけている。

「枠がよかったし、どの馬が行くかも読みやすく、理想的な展開になりました。好位のインで競馬をしたいと思っていて、イメージどおりでした」

 アルアインに騎乗した北村友一はそう振り返る。

 エポカドーロキセキスティッフェリオアルアインという馬順のまま、前半1000mを1分1秒3で通過した。午前中は稍重で、午後から良発表になった柔らかめの馬場を考慮してもスローな流れだ。

 アルアインの斜め後ろにステルヴィオダンビュライト、その後ろにワグネリアンエアウィンザーらが控えている。

 やや重心を後ろにかけ、手綱を引きながら騎乗馬をなだめていた北村の重心が、少し前に移った。

「行きっぷりはよかったです。馬の気分を害さないにだけ気をつけて乗りました」

 アルアインは、逃げるエポカドーロを1馬身半ほどの射程にとらえたまま3、4コーナーを回り、直線へ。

 北村は迷わずアルアインエポカドーロの内に入れ、ゴーサインを出した。

「追い出してからの反応が抜群によかった。坂を上ったらふわっとする癖があって、今日もソラを使ったけど、気分を害さないよう、あえてステッキを入れないようにしました」

 アルアインはラスト200m地点で先頭に立った。外から追い上げてくるキセキ、内から伸びてくるワグネリアンに迫られても、北村はノーステッキで追いつづける。

「いつも善戦してくれるのに、気持ちが最後まで続かない。そこに気をつけて、どうしたら集中してくれるのかを考えて、一生懸命乗りました」

 ライバルに詰め寄られて焦ったはずだが、それでも北村は鞭を使わず、手綱をしごきながらハミを強く当てなおす扶助でアルアインを叱咤し、勝利をもぎ取った。騎乗馬のメンタル面を考えつづけ、馬の気持ちに騎乗するかのような見事なレースであった。

 アルアインにとっては、一昨年の皐月賞以来、約2年ぶりの勝利となった。デビュー14年目の北村にとっては、これが初めてGIタイトルであった。

(文:島田明宏)

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