皆さん、もうご存知かと思いますが、今朝17日朝の調教で来週の
天皇賞(春)に出走予定だった
シャケトラが骨折を発症しました。「安楽死という判断。残念です」(角居師)とのことでした。
最近の
シャケトラは本当に調子が良かったんです。1年の長期休養明けの後、いきなり
AJCCを快勝。続く
阪神大賞典を制して、いよいよ盾へと駒を進めようとしていた矢先の出来事でした。
こういった事故があったとき、その様子から"もしかしたらなんとかなるかも"と思わせるケースと、見た瞬間に絶望するケースがあります。
残念ながら
シャケトラは明らかに後者でした。
「左第1指骨開放骨折。繋の骨とその上の管骨と…。それぞれ複雑骨折して、管骨は脱臼していました」
この部位は、2018年に丸1年休養していたときの故障個所である左の球節部分付近でした。
「もともと弱い箇所でした。見えにくい場所を骨折して1年休養していました。状態が良かっただけに(もともと弱い箇所に)負担がかかってしまったのかなと思います」
答える角居師は淡々と、かつ絞り出すような声で角居師はその状況を説明してくれました。こういった取材を受けるのはさぞ辛いことでしょうし、もちろん伺うこちら側も悲しいのですが…。ファンの方が伺い知れない場所での出来事をお伝えするのも、取材をするひとりとして「伝えなければ」という使命感もあり、このように取材をし記事を書いています。
余談ですが、かつて競馬ファンだった時代に
桜花賞馬
リーゼングロスの娘である
アインリーゼンという大好きな馬がいました。しかし彼女は、
オークス3着のあと休養に入り、自己条件を2連勝した後、トレセンでの事故で亡くなりました。当時は競馬の情報を知るにはスポーツ新聞しかなく、良血とはいえ条件馬の彼女の命の状況を必死で追ったのを覚えています。
不幸中の幸い、オフシーズンだったので数行だけ不慮の死を遂げた様子が書かれていました。そして、その記事を見つけたときの悲しみと同時に知ることができてよかったという気持ちは今も忘れられません。だから、
メディア越しに競走馬たちを心配する皆さんの気持ちが痛いほどわかるんです。
最後に。この写真は今年の1月23日に栗東トレセンで撮影したものです。取材をしていて1年に何枚か自画自賛したくなるベストショットが撮れるのですが、この
シャケトラの写真はその1枚です。
戦前、1年の休み明けということもあり陣営は皆さん決して強気にはなれなかったのですが、それでも
シャケトラを信じて送り出した。すると「ポテンシャルの高さに感激しました!」と担当の上村助手が手放しで驚くほどの激走をみせてくれたのです。
その数日後、
シャケトラは眼を瞑ってしまっているのですがどこかほっこりした表情ですし、上村さんが愛馬を誇らしげに称える笑顔がホント喜びに溢れていて。まさか、この写真の数か月後にこんな悲しい別れがくるなんて思ってもみませんでした。
シャケトラ号のご冥福をお祈りいたします。
(取材・文:花岡貴子)