「天皇賞(春)・G1」(28日、京都)
平成最後の盾を射抜いたのは1番人気に推された
フィエールマン。直線の競り合いを制し、メンバー唯一のG1馬としてその力を見せつけた。わずか6戦目で古馬の頂点に立った
ディープインパクト産駒は、令和の時代もさらなる強敵を求めて突き進んでいく。2着は6番人気の
グローリーヴェイズ、3着には8番人気の
パフォーマプロミスが入った。
平成最後のG1は、まさに歴史に残る死闘だった。京都外回り、398・7メートルの直線が途方もなく長く感じられる。息詰まる壮絶なマッチレース。最後に左手を挙げたのは
フィエールマンの鞍上・ルメールだった。外から来る
グローリーヴェイズを受け止め、後続を突き放しての熱い熱い追い比べ。外から戸崎圭が左ムチで寄せて行けば、ルメールもこん身の左ムチを振るう。首差抜け出たのは、最後の3完歩だった。
熱戦を見つめた手塚師はスタンドで声をからした。「しびれました。でも、4コーナーで手応えも十分あったし、辛勝だけど、かわされないと思っていました」。これで6戦4勝、2着2回とオール連対。敗れた2戦も半馬身差と頭差。昨年の
菊花賞馬でメンバー唯一のG1馬が、類いまれな勝負根性を発揮。その威厳を示した格好だ。
今秋の
凱旋門賞・仏G1(10月6日・パリロンシャン)には、既に1次登録を済ませているが、トレーナーは「楽ではない。環境への適応力ということもある。でもまだ、半年ある。彼の成長を待って、精神力に体力が追いついてくれば。まだきゃしゃですから」と話すにとどめた。
春の最大目標だった平成最後の盾を、競馬史に残るたたき合いで制した
ディープインパクト産駒の4歳馬。ひと回り大きく成長し、さらに強くなれば…。まもなく訪れる“令和”の時代に、父の果たせなかった、そして日本競馬界の夢を切り開いてくれるに違いない。
提供:デイリースポーツ