「これまで海外の様々なビッグレースに参加させてもらってきたし、
凱旋門賞を見る機会にも恵まれたけど、それらと比べても
ケンタッキーダービーは別格です。“もう一度行きたい”と強く思うレースですね」とは3年前の同レースに
ラニで参戦した松永幹調教師。
管理馬を出走させる立場で聴く「マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム」は格別らしいが、日本の自宅で聴いても、それなりに感動するもので。
JRAが発売した海外競馬はフル参戦。身銭を切って“勉強”を続ける記者にとっても、
ケンタッキーダービーの馬券を買い、ライブ映像を見られる喜びは、ドバイや香港のそれとは比較にならないものだった。
1位入線→17着降着の
マキシマムセキュリティを巡る状況は、米国らしく「裁判沙汰」に発展するなんて報道もあるくらいの大トピックになったらしいが、日本人なら最後方から鋭く追い込んだ
マスターフェンサー(6着)のパフォーマンスに言及しないと。
「出遅れはもちろんだけど、決してスムーズに回ってきたわけじゃない。迷った結果として内に…って感じだったでしょ? 最初から内ラチ沿いを狙って走っていたら、もっと差のないところまで来ていたと思うし、繰り上がり優勝なんて結果まであったかもしれませんね。
いずれにしろ、次走以降は頭数が少なくなっていくし、特に
ベルモントSは“日本馬がいつかは勝てるレース”と僕は思っているんです」とは前出の松永幹調教師。米3冠最終戦に
マスターフェンサーの名があることを期待したい。もちろん、記者は次回も全力買い。恥ずかしながら、今回は無視した
マスターフェンサーの馬券も買ってみたいと思う。
ケンタッキーダービーの話ができる喜びをかみ締めながら…となった週明けの取材。
ヴィクトリアMが
メインターゲットなのを忘れないうちに、松永幹調教師に
ラッキーライラックの話を切り出した。
阪神牝馬S8着は鞍上の石橋がもう少し上手に乗れていれば、結果は違っていた――。
そう感じるレースであったわけだが、案の定というか「それは石橋が一番わかっていることですからね。“自分が100%悪い。すみません”とすぐに言ってきましたよ」とまるで責める様子がないのが松永幹師らしい。今回のコンビ継続も素直に喜んでいる。
「あの競馬の後だからこそ“今回も石橋で本当に良かったな”と僕は思っているし、担当の丸内(助手)も同じように考えているみたい。失敗した人間を替えるのは簡単だし、それが好結果を生むこともあるけど、その逆もあるわけだから。
気持ちが入り過ぎる必要はないが、改めてチャンスをもらえたことで、彼なりに期するところもあると思う」と語った後、「それにね、
ラッキーライラックと石橋は誕生日(4月3日)が同じなんですよ」と付け加えた。
自他ともに認めるベストコンビを簡単に解消させることはできません――。そんな意味合いに受け取ったのだが、実際はどうなのだろうか?
とにかく、あの一戦だけをピックアップして、責任をなすりつけるようなことはしなかったトレーナーの姿勢を見れば、応援したくなるのも当然。初重賞(
アルテミスS)勝ちを決めた東京マイル戦で、
ラッキーライラックのリベンジVを期待している。
(栗東の本紙野郎・松浪大樹)
東京スポーツ