先週から始まった新馬戦。当欄でも紹介した
リアアメリア(栗東・
中内田充正厩舎)が単勝1.2倍の支持に応えて快勝。すでに陣営からは秋に備えるというコメントが出ているようだが、いずれにせよ、現2歳世代の牝馬路線をけん引する存在であることは間違いないだろう。
今週の阪神マイルにも楽しみな馬が出走予定だが、面白そうなのは芝1200m。昨年、3日目の阪神芝1200mを勝ったのは
アウィルアウェイ(栗東・
高野友和厩舎)。
ダリア賞を勝った後は重賞で2着3着という実績を残しているのだから、このレースを勝ち上がる馬も注目すべき存在になりそうだ。
【6月8日(土) 阪神芝1200m】
◆
ロードクラージュ(牡、父
ロードカナロア、
母レディルージュ、栗東・安田隆行厩舎)
半姉の
ハーツクライ産駒リップグロスが同じ安田隆行厩舎で管理されているが「タイプは全く違います」と安田隆行調教師。また全兄になる
ロードラズライトはセン馬になっているが、こちらとも気性的なものが違うとのこと。
個人的には追い切るたびに動きが良くなっている印象を受けていて、まず5月16日の坂路で馬なりながら4F54.8秒、1F12.5秒とまずまずの時計が出た。翌週には坂路4F52.9秒、2Fが24.5秒。併せた相手は3勝クラスの
ミッキーワイルドで、ゴール前はこちらの方が手応え優勢なくらい。
坂路ばかりではなく、5月29日のCWでもきっちりと併せ馬を追走して同入しており、調教内容としては文句ないが「
北村友一騎手は使って良くなっていきそうなタイプで、まだまだという評価」(安田師)とのこと。現状でも十分動ける状態にはあると思うが、これを使ってからの上昇度も楽しみな馬であることは間違いない。
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トリプルエース(牡、
父Shamardal、母Triple
Pirouette、栗東・
斉藤崇史厩舎)
ダートで4勝を挙げた半兄
クワドループル(
父コマンズ)は日高町のダーレー・ジャパン・ファームで生産されているが、本馬はアイルランドのGodolphinで生産された外国産馬。日本で活躍した
Shamardal産駒には芝で5勝を挙げた
ゴールデングローブなどがおり、芝でも実績ある血統。
5月15日の坂路で4F53.4秒をマークした時点で
斉藤崇史調教師にその手応えを確認した時は「適性を含めて、まだ掴み切れていない部分が多いですね」と話していたが、5月29日に坂路で4F51.7秒をマークした後は「やるたびに良くなっていますね」と
トーンアップ。
5月22日に芝馬場で手応えを確かめる程度の追い切りで調教内容に強弱をつけたのも良かったのかもしれない。単なるス
プリンターというわけでもなさそうなので、どんな走りを見せてくれるか楽しみ。鞍上は
和田竜二騎手が予定されている。
【6月9日(日) 阪神芝1600m】
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シャルロワ(牝、
父ハーツクライ、
母フェリシア、栗東・
梅田智之厩舎)
母系に芝で5勝を挙げた
ブラヴィッシモ(父
Fastnet Rock)がいる血統。母は現役時代に
フェアリーSを勝ち、
桜花賞や
秋華賞といったG1に出走している。
時計的に注目したのは5月16日の坂路。4F52.0秒は新馬としてはかなり速い時計で、しかもまだ余力がある状態でマークした数字だった。翌週はCWで追い切ったが、
ヒデノヴィーナスに先行していたこともあったが、最後まで相手に追い抜かせない内容。
ここでトラック馬場でも動けることを見せ、5月30日のCWではレースでも騎乗予定の
岩田康誠騎手が跨り、
ヒデノヴィーナスと併せて先着。6F81.8秒、1F12.4秒という内容は本当に優秀だった。追い切りでのイメージだと先行押し切り、派手さはないが、安定した走りを見せてくれそう。
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アドマイヤヴェラ(牡、父
カレンブラックヒル、
母コズミックショア、栗東・
須貝尚介厩舎)
2012年に
NHKマイルCを勝った
カレンブラックヒルの初年度産駒。2018年セレクトセール1歳では、4536万円(税込)で落札されている。
坂路での追い切りでは目立った時計は出ていなかったものの、5月22日のCWでは終い重点とはいえ、1F12.4秒でしっかり伸びていた。そして、5月29日は芝馬場での併せ馬。最後の直線に向いた直後に手前をサッと替えるあたりがセンスの良さを感じさせるが、追い出されてからの伸びは新馬らしさが残っている。
ここまでしっかり乗り込まれているだけに体力面では水準以上と想像できるが、あとは実戦の追い比べでどこまで反応できるか。鞍上は
M.デムーロ騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)