なかなか前評判通りにはいかないのが競走馬の世界。期待を裏切る良血馬もいれば、予想以上に走る安馬も…。
目下4連勝で
ユニコーンSに出走する
デュープロセスも、デビュー当初はここまで走ると評価されていなかったとか。
「最初に乗った時は正直“1勝クラスを勝てればいいかな”ってくらいにしか思わなかったですね。これまで鮫島駿、北村友、三浦、中井…いろんなジョッキーが調教や競馬で乗ってきましたけど、いいことは言わなかったんですよ」と安田助手は振り返る。
そんな馬が周囲の予想に反してオープンを連勝。重賞に有力馬として駒を進めてきたというのだから競馬は分からない。
ただ、そんな“隠れ実力馬”の力を早い段階から見抜いていたジョッキーが実は一人だけいた。
「モレイラだけでしたね。新馬戦に乗ってくれて、その時は2着に負けたんですけど“とてもいい馬だ”ってえらい褒めてくれて。2戦目(未勝利戦)に勝ってくれた時も“素晴らしい馬なので大事にしたほうがいい。芝には使わないで”って。その時点では“お世辞がうまいな”としか思ってなかったんですけど、その後の走りを見ると“やっぱりモレイラってすげーな”って思ってしまいますよね」(安田助手)
もっとも、今ではモレイラ以外にも分かるくらいの成長を遂げたようで「前走の青竜Sの追い切りに乗って“なんじゃこりゃ”ってぐらい馬が変わっていたんです。やればナンボでも動く感じで“シート”が高級車のそれに変わっていました。こんなに短期間で馬が変わるなんて、初めての体験ですよ」
おそらく、この
デュープロセスのことは日本を離れた今もモレイラは気にしているのでは? 重賞初Vを決めて香港に吉報を届けてほしいものだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ