今週で東京、阪神の開催が終了。個人的に注目しているのは、なんといっても阪神芝1800m。今年の出走メンバーにわくわくするのはもちろんだが、過去にこのレースでデビューした馬はGIホースになるケースが非常に多い。
2007年は勝った
アーネストリーが古馬になってから2011年
宝塚記念を優勝。2着だった
トールポピーは
オークス、8着だった
キャプテントゥーレは
皐月賞と翌年のクラシックを制覇。2008年の1着馬
ロジユニヴァースは翌年の
日本ダービーを制覇するなど、枚挙に暇がない。
【6月22日(土) 阪神芝1200m】
◆
ラウダシオン(牡、父
リアルインパクト、
母アンティフォナ、栗東・
斉藤崇史厩舎)
半兄
アンブロジオ(父
ローズキングダム)は未勝利、
ベゴニア賞と東京マイルで連勝し、
クロッカスSは2着。2歳から3歳にかけて、しっかりと動けていた馬なので、この時期から動ける血統というイメージがある。
本馬はゲート試験に合格した後、一旦放牧へ出されており、5月28日に再入厩。そこから少しずつ追い切り時計を詰めていき、6月12日はレースでも騎乗が予定されている
福永祐一騎手が跨ってのCWコースでの追い切り。1勝クラスを追いかける内容の3頭併せだったが、最後は内から追いついて、ラスト1Fは11.7秒の伸び。6F83.6秒と全体時計もそれなりの数字が出ている。
個人的にはもっと距離があった方がいい印象もあるが、そのあたりはスピードとセンスの良さがカバーしてくれるのではないだろうか。
【6月23日(日) 阪神芝1800m】
◆
シルヴェリオ(牡、
父ハーツクライ、
母シルヴァースカヤ、栗東・
池添学厩舎)
POGでも大注目の良血馬。半兄には未勝利から1600万下(現3勝クラス)を4連勝した
シルバーステート(
父ディープインパクト)、デビュー戦で後のダービー馬
ワグネリアンとハナ差の接戦を演じた
ヘンリーバローズ(
父ディープインパクト)らがいる。
さすが、というところを見せたのが、6月5日のCWコースでの併せ馬。レースでも騎乗予定の
C.ルメール騎手が乗っていたが、ゴール前で鞍上が促すと即座に反応して、相手を一瞬で置き去りにした。
藤懸貴志騎手が跨った6月12日のCWでは併せ馬で遅れた形だが、1F11.5秒で伸びているので全く問題ない。あとはレースでどんなパフォーマンスを見せてくれるか期待したい。
◆
リメンバーメモリー(牡、父
キズナ、
母フィオドラ、栗東・
佐々木晶三厩舎)
2017年セレクトセール当歳にて、9000万円で落札された
キズナ産駒。父を管理した
佐々木晶三厩舎へ入り、父を担当した田重田静男厩務員が担当するとなれば、その注目度が高くなって当然。調教での走りも
キズナに似たところがあり、追い切りでどんな動きを見せてくれるか注目していた。
意外だったのは5月30日のCWコース。併せ馬だったが、内で追われてもさほど伸びない感じで、時計的にもパッとしなかった。それが6月5日のCW、レースで騎乗予定の
武豊騎手が跨った追い切りではそれなりに動け、6月13日のCWでの併せ馬ではきっちり先着できたので、週を追うごとに良くなっている。
ただ、道中の走りっぷりからすると、最後の直線でどれだけ伸びるだろうという雰囲気なので、このあたりに物足りなさが残るのも事実。実戦に行けば弾けるタイプなのか、そのあたりも含めて注目のデビュー戦となりそう。
◆
レッドベルジュール(牡、
父ディープインパクト、
母レッドファンタジア、栗東・
藤原英昭厩舎)
全姉
レッドベルローズは東京マイルの新馬戦を勝ち、直後の
フェアリーSでは3着の実績がある。同じく全姉の
レッドベルディエスも東京マイルの未勝利戦を勝っており、上2頭が美浦所属だったこともあるが、東京マイルには縁のありそうな血統。
ここまで順調に追い切りを消化していたが、動きが目立ったのは6月12日。レースで騎乗予定の
福永祐一騎手が跨って、CWコースでの併せ馬だったが、2勝クラスを追いかけて最後は楽々と先着。6F83.2秒、1F12.1秒と時計的にも十分な数字をマークしている。
きょうだいで初めての牡馬ということもあるので、この舞台でどんな走りを見せてくれるか楽しみなところだろう。
(取材・文:井内利彰)