スマートフォン版へ

ローズキングダムが暮らす牧場 引退馬たちを救うクラウドファンディング

  • 2019年06月17日(月) 21時15分
 年間約3700頭。これは華々しい競馬の舞台から引退したのち、乗用馬等への転用がされずに行方がわからなくなったと言われている馬たちの数だ。引退馬全体の約半数強が行方知れずと言われており、年間の引退馬数から計算すると、この数字になる。これが毎年繰り返されていると考えると、気が遠くなるような数の元競走馬たちが、処分の道を辿っていると推測される。

 JRAが引退馬支援組織を立ち上げて実際に支援を始めているが、まだ引退馬の数に対して受け入れ先は十分にあるとは言い難い。セカンドキャリア、サードキャリア、そして養老を含めて、今後引退馬たちの受け入れ先を増やしていく必要が急務と思われる。

 その中で「引退した馬たちの現状をどうにかしたい」という思いで、数年前から引退馬を預かる活動を始めたのがヴェルサイユファームの岩崎崇文さんだ。ヴェルサイユファーム(旧三城牧場)は競走馬の生産、育成を生業としているが、馬に関われば関わるほど、岩崎さんの引退馬への思いは強くなっていったという。

 現在、ヴェルサイユファーム本場から車で数分のところに、5年前まで他の牧場が使用していた場所を養老牧場のヴェルサイユリゾートファームとして、16頭の引退馬たちを繋養している。ローズキングダム(セン12)や、認定NPO法人引退馬協会のフォスターホースであるタイキシャトル(セン25)、メイショウドトウ(セン23)と3頭のGIホースたちも暮らしている。

 だがしばらく使われていなかった牧場は荒れており、さらに昨年の台風21号と胆振東部地震に見舞われ、厩舎は修繕ではなく建て替えが必要な状況となった。そこで少しでも早く厩舎を建て替えて、引退馬を1頭でも多く受け入れられるよう、4月10日からクラウドファンディングを開始した。目標額1000万円で始まったが、この目標は6月11日に無事達成した。

 集まった1000万円は16馬房の第一厩舎の建て替えにあてられる予定だ。現在は洗い場の扉修繕及び、屋内馬場の屋根の修繕、第二厩舎の建て替えに向けて、NEXT GOALを2000万円に設置して引き続き支援を募っている。

 筆者も実際に牧場を訪ねたが、岩崎社長は26歳と若いながらも明確でしっかりとしたビジョンを持って活動していると感じた。また環境美化にも力を入れており、厩舎が建て替えられて、環境整備がさらに進めば、引退馬はさることながら、そこを訪れる人にとっても癒しの場になることだろう。

 およそ2か月に渡って行われたクラウドファンディングも、6月19日(水)の午後11時に終了する。ヴェルサイユリゾートファームを応援したいと思われる方は、是非クラウドファンディングサイトを覗いてみてほしい。

ヴェルサイユリゾートファーム クラウドファンディング
サイトはこちら
※外部サイトへ移動します

(取材・文:佐々木祥恵)

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す