まず展開を考えると
マルターズアポジー、
ブラックスピネル、
タニノフランケルあたりが逃げ候補としてあげられますが、やはり、このなかではスタート力とテンのスピードでは
マルターズアポジーが圧倒的に早く、
ブラックスピネルと
タニノフランケルはそれぞれ控えざるを得ない競馬となるでしょう。
また福島2000mはコーナーまでの距離が長く、ペースが速くなりやすいコース形態。
マルターズアポジー自身も過去2走、福島2000mでは1000m通過が57秒6と58秒で相当なハイペースを演出しています。ここも枠順問わず、縦長かつ平均ペース以上のレース確実といえそうです。
では、ここからは個別に出走馬を見ていきましょう。まずは
ロシュフォール。初の重賞挑戦ながら、3着に健闘した前走の
新潟大賞典は立派のひと言。勝ち馬がその後、
鳴尾記念を制したことを考えれば決してレベルも低くなかった一戦です。
ただ、唯一気になる点は小回りコースの適性。直線の短いコースでの競馬に一抹の不安が残ります。斤量55キロで、力関係からも能力上位は明らかなので勝負どころで流れに乗れるかがポイントになりますが、筆者は決してプラスには働かないと考えています。
続いて、
ミッキースワロー。前走は展開がまったく向かない競馬で、さすがに度外視できるでしょう。ただ、2年前の福島での走りや小回りでの競馬を見ても、加速する前にレースが終わっている印象で、直線が短いコースで斤量57.5キロだと反応に不安があります。乗り替わりも気になるところです。
前走は左回りと新潟外回りのヨーイドンが向かなかった印象の
クリノヤマトノオー。こちらも、前走は度外視してもよさそうです。理想は、雨が降る馬場で小回りかつ右回りでの競馬。そういう意味では、今回はベストの条件が揃いました。前が流れる展開で外から早目に動いていく形が理想で、外枠を引いた(8枠16番)時点で本命も検討したい1頭です。
近走は精彩を欠くレースが続いている
ストロングタイタンですが、本来は
鳴尾記念を制しているように重賞路線でも十分に通用する逸材です。小回りコースとの相性もあり、久しぶりでも展開の利があれば夏のローカルなら巻き返しの可能性はあります。自在性のある競馬が生きる展開のここは、ある程度の評価はしておきたいところです。
ブラックスピネルは、レース内容を見ても本質的には2000mが長い印象。よほど展開利と馬場の恩恵がない限り、重賞路線では厳しいかもしれません。理想はマイルで先手を取る競馬からの押し切りで、逃げの戦法以外だとさらに信頼度は落ちます。
マルターズアポジーが大逃げした場合、番手からの競馬ならばチャンスはありますが、基本的には相手候補の1頭として押さえておきたい馬です。
クレッシェンドラヴの前走は同コースで早い流れの競馬を自ら動いて作るレースで、終いの甘さは仕方のない面がありました。理想は2走前のような競馬で、前回同様に前が流れる展開ならば重賞路線でも期待できます。小回りコースとの相性も良さそうなので、雨降ってこの馬向きのレースとなれば一発楽しめそうです。
タニノフランケルの前走は確かにゲートでの後手が響く内容でしたが、今回も2000mへの距離適性に疑問がある点、やはり重賞で通用するには先手からの競馬が必須である点が気になります。相手関係も夏のローカルにしては揃った感もあるので、斤量55キロでも不安があります。
小倉大賞典でも絶好位の2番手から押し切れなかった点を踏まえても、
マルターズアポジーが引っ張る展開では厳しいかもしれません。
ここで取り上げた
ロシュフォールと
クリノヤマトノオーが中心で、現時点ではそれに
クレッシェンドラヴや
ストロングタイタンを絡める予定です。ただ、雨の降り具合や馬場状態を考慮し、逃げ馬や差し馬の枠の並びなども踏まえて馬券を組み立てるつもりです。ほぼ8割から9割は上記で取り上げた7頭での決着の可能性が高いので、ぜひ予想の参考にしていただき、最終決断もお楽しみに!
(文=倉本匠馬)