中堅の競走馬は一度成績が崩れ出すと、それを取り戻すのもなかなか容易ではありません。

　ブラックスピネルは2017年の東京新聞杯を制して以降、今年の白富士Sまでずっと3着以内に入ることができませんでした。

　そんなブラックスピネルにとって、白富士Sで突破口を開いたきっかけになったのがブリンカーの装着でした。

「浅めのブリンカーで慣らしてから深くするのではなく、思い切って最初から深いブリンカーを装着しました。そうやって一気に深いブリンカーをつけたのが良かったみたいで、調教でも精神面でピリッとしたところを見せるようになったし、気持ちの入り方が大きく変わってから成績も上向いていますね」と担当の濱田助手。

　振り返ってみれば、2017年の東京新聞杯の2戦あとの安田記念での惨敗以降、極端な2桁着順が続くようになりました。

「あの惨敗はブラックスピネルの精神面に影響があったかもしれませんね。負けが込んでいたときは、調教での走りもどこかピリッとしたところがなかったように思います」

　そういった気持ちのスイッチって大事ですよね。

「特にモルガナイトの子供たちはそういうところがありますね。最近はピリッとしたところを持続していますし、七夕賞も楽しみにしているんですよ」

(取材・文：花岡貴子)