「
地方競馬記者コラム・仕事、賭け事、独り言」
5月から令和の時代に代わった2019年もはや7月、1年の折り返し地点となった。3月には大相撲・田子ノ浦部屋の大阪場所宿舎となり、その異色のコラボが話題となって多くのテレビ放映もされた
園田競馬場。本業の競馬も、禁止薬物問題の影響もなく順調に開催が行われ、熱戦が繰り広げられている。
上半期が終了して当競馬場で注目されるのが、リーディングジョッキー、同トレーナーの勝利数、連対率。6月を終了した時点でジョッキー部門では昨年初の全国リーディングの座に輝いた
吉村智洋騎手(34)が165勝、連対率・445、トレーナー部門では
新子雅司調教師(41)が68勝、連対率・508。
このペースで勝ち星が年末まで継続されると吉村智騎手は330勝、新子雅師は136勝となるハイペース。4、5割を超える連対率の高さは、我々馬券を買うファンにとってはこの上なく頼もしい驚異の数字だ。しかもただ、単に数字が素晴らしいだけではなく、吉村智騎手は
バンローズキングス(牡3歳、松平幸)で念願の「兵庫ダービー」制覇をはじめ、重賞も3勝を数える。
新子雅師も2月に
ナチュラリーでの「園田
ウインターカップ」優勝を皮切りに、レース体系の変更により今年は3月、6月の2回行われた「
六甲盃」を
タガノゴールドで連覇、「園田FCス
プリント」を
タガノカピートで勝利して重賞4勝。両者とも中身の濃さもまた特筆もの。ただ、感嘆するばかりの活躍ぶりだ。
6月20日は、この2人の勢いを象徴した開催日となった。まず吉村智騎手は、この日行われた「2019
地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ」で盛岡でのファーストラウンド5P11位から、10R、12Rの2レースで勝利し、60Pを獲得して逆転優勝。8月24、25日に札幌競馬場で開催される「
ワールドオールスタージョッキーズ」への招待チケットをゲット。先だって行われた騎手紹介式で「地元の意地で頑張ります」と語った心意気をそのまま両レースにぶつけ、鬼気迫る追いっぷりで勝利をもぎとった。
昨年以上にテン乗り(初騎乗)での活躍が目立ち、この先も今のペース落ちることはなさそう。昨年惜しくも年末の騎乗停止で達成できなかった本人公言の目標の「年間300勝」超えの大記録を達成し、昨年自身が更新した兵庫競馬年間最多勝の296勝をどこまで勝利数を増やして更新するのか興味深いところである。
一方、新子雅師はメインレースの「園田FCス
プリント」を勝利。年に一度の兵庫最短距離である820メートル戦を、豊富な自厩舎のオープン馬の中から適性を見極め厳選して挑み、カピートに初タイトルを獲得させた。「この距離に適性があるとみているし、今までより気合い乗りを良くして、それをレースで生かせるように」と戦前、記者に話してくれた通りのレースぶり。師のプロフェッショナルな仕事ぶりは先日NHKテレビでも採り上げられているほどだ。
その先週に行われた兵庫競馬最長距離重賞(2400メートル)・
六甲盃では1着
タガノゴールド、2着
タガノヴェリテ、3着
メイショウオオゼキと3頭出しで、上位3頭を独占。その後のインタビューでは「今後も兵庫競馬を盛り上げていきたい」と下半期の重賞レース奪取にも意欲を見せていた。兵庫競馬調教師年間の最多勝は、98年からの近21年間で12年の
田中道夫調教師が達成された109勝。年末には記録更新を見届けることができそうだ。
また、今週もリリコ(牝3歳、田中範厩舎)が笠松で行われた重賞「
クイーンカップ」を制したが、今年の西日本地区の地方交流重賞レースでは兵庫競馬所属馬が例年以上に優勝、上位進出の好成績を誇っている。前記した2人以外のジョッキー、トレーナーにも仕事人がそろう兵庫競馬。今後さらなるレベルアップした競馬を提供してもらえそうで目が離せない。(
地方競馬担当・工藤 修)
提供:デイリースポーツ