「
巴賞(12着)は追走に苦労したが、
函館記念(2着)では楽に2番手に行けた。それが
マイネルファンロンの最大の好走要因だろうな。函館は千八と二千じゃまったく別物。2角までの入りが全然違うんだもん」
週明け(16日)の美浦で、
手塚貴久調教師が先週の結果をしみじみと分析していた。もとから
巴賞は叩き台としての出走であったが、それでも結果にこれだけ落差を生むのはコース形態のなせる業か。思えば今週の福島日曜メイン・
福島テレビオープン(芝1800メートル)も、かつては(レース名・吾妻小富士オープン時代を含めて)
七夕賞の前哨戦として開幕週に組まれたが、勝ち馬が
七夕賞を制した例は皆無。たかが1ハロン、されど1ハロン。それがローカル競馬場の興味深い特性であるのだろう。
さてその意味で今週注目したのが、昨年のダービー3着馬
コズミックフォース。中長距離路線を歩んできた同馬が、6か月半ぶりの復帰戦に
福島テレビオープンを選択したのが気まぐれや酔狂であるわけがない。
「
中山金杯の走りを見ると、自分で競馬をやめている感じなんだよな。今回はテンにせかさず、少し距離を短くしてしまいを生かす競馬をさせるつもりなんだ」
ダービー3着以降、7、15、13着と不振にあえぐ同馬の打開策として、管理する
国枝栄調教師が着手したのはメンタル面の改造だ。もとより
母ミクロコスモスは千六の距離を主戦場としたマイラー。ダービー3着の幻影を引きずらず、短めの距離で集中力をキープするのがベターという決断は、おそらく的を射ている。担当する藤井寿雄助手は復活への手応えをこう告げた。
「深管の不安で復帰が遅れたが、むしろ
リセットするにはちょうどいい休養だったかもしれません。ダービー以降はずっとテンションが高く、エキサイトした感じでしたが、今回はそれがなく馬がすごく落ち着いている。体も太め感なく、調教では
ゴーサインにしっかり反応できています。小回りばかりはやってみないと分かりませんが、この相手なら結果を出して先を見据えたいところですね」
マイネルファンロンも振り返れば、3歳春には
スプリングS3着から
皐月賞に駒を進めた素材。クラシック路線を歩んだ姿がダテではないことを、今週は
コズミックフォースがローカル舞台の特性を利して示す番である。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ