今週から6週にわたる札幌出張がスタート。先週美浦トレセンの朝は肌寒いと感じたが、北海道ともなるとそれは並ではない。初日は薄手のジャンパーを羽織って取材に臨んだが、気温18度に強風が伴い、じっとしていると体が震えた。午後のキュウ舎回りでは取材メモが強風で吹き飛ばされる災難に遭い、精神的に疲弊著しい初日となった。
さて、そんな当方とは対照的に活気あふれる姿が目立ったのが、開幕週メイン・
クイーンSの主役たる
ミッキーチャーム。昨年はGI
秋華賞2着、今年はGII
阪神牝馬Sで重賞初制覇を飾ったが、その土台は言わずもがな未勝利Vから3連勝を果たした北の大地。やはり滞在が合うのだろう。運動中もトモの踏み込みは力強く、馬体の張りは目を見張る。
「追い切りはテキ(中内田調教師)が駆けつけて騎乗。条件馬だった昨年とは扱いがまるで違いますね(笑い)」と片山裕也助手が語ったように、今回は凱旋帰郷のムードも漂う。
頭が堅いなら、相手に狙いたいのは人気薄だ。現時点で気になっているのは、ミッキーと同じディープ産駒の2頭。開幕週を思えば、ハナを切るであろう
エイシンティンクルが不気味な存在として浮上する。
「転キュウ初戦のダービー卿CTは手探りで調整したのですが、テンションが上がり体も減らして惨敗(13着)。その反省をくみソフト仕上げで臨んだ
都大路Sは3着と結果を出してくれました。今回も栗東で入念に乗り込んでから札幌入り。こちらではもう(速い)時計を出さなくていいと思っています」
こう語るのは
杉山佳明助手。気性にモロさを抱えるものの、海外GI2勝の兄
エイシンヒカリ同様の天才肌。加えて鞍上が競馬界のレジェンド=
武豊とあれば“マジック”炸裂も夢ではない。
そしてもう一頭は対照的に追い込み型の
ダノングレース。札幌で新馬勝ちした当初はクラシック級と感じさせたが、小柄な馬体とイレッポな気性が災いし本格化を迎えたのは今年に入ってから。その分、伸びシロ十分なディープ産駒と言える。
「
福島牝馬S(3着)は早めに動いて勝ち馬(
デンコウアンジュ)の格好の標的に。それだけに前に目標がいる今回は競馬がしやすいはず。実績は
フロンテアクイーンですが、滞在で気配はすこぶるいいし、どちらが勝っても不思議はないですよ」とは椎本英男助手。
“2頭出しは人気薄”の格言からも、今回の国枝キュウ舎で怖いのはこちらと踏んでいる。
(札幌の鼻風邪野郎・山村隆司)
東京スポーツ