障害レースにあまり詳しいほうではないのだが、それでも記憶に残る競馬がいくつかある。そのひとつが、2年前の
小倉サマージャンプ。断然人気の
アップトゥデイトをゴール寸前で見事に差し切った
ソロルの走りは、何度見返してもシビれてしまう。
「あれは自分でもシビれたよ。返し馬から状態の良さは感じていたけど、よく届いてくれた」と懐かしそうに振り返ってくれたのは当時の鞍上・西谷騎手。今年は
アグリッパーバイオとのコンビで
小倉サマージャンプ3連覇を目指す、小倉競馬の“達人”である。
その西谷騎手に小倉競馬場の特徴を尋ねると、「馬のためにすごくいいコースだと思う。左回り、右回りのあるたすきコースで、道中にはバンケット、直線には置き障害もあるからね。つまり、障害の要素が全部詰まっているんだ。だから小倉で勝った馬は、どこの競馬場に行っても走ってくれるんだよね」。
そんな障害馬の“虎の穴”ともいうべき小倉競馬場で、障害2戦目ながら重賞3着(18年
小倉サマージャンプ)と好走したのが
アグリッパーバイオ。
近走はもうひと息の成績が続いているが、「先週の追い切りは体感以上に速い時計が出たし、状態は前回(
東京ジャンプS6着)とは全然違う。意識的に暑い時間帯に調整している馬だから、夏場も心配ないよ。
タマモプラネットを目標に、各馬が早めに動いていきそうな今回は展開も向くんじゃないかな」と確かな手応えを感じている。
ちなみに、この
小倉サマージャンプは過去10年で5番枠以内の馬が7勝と内枠有利のレース。「最初の障害を飛んだら、すぐコーナーがくるからね。外枠の馬はどうしてもきつくなる」
アグリッパーバイオがうまく内枠を引き当ててさえくれれば…。西谷騎手の3連覇を全力で応援するつもりだ。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ