2019年7月30日、史上2頭目の無敗の三冠馬・
ディープインパクトが17歳でこの世を去った。現役時代はすべての国内レースで上がり最速をマークする圧倒的な末脚を武器に通算14戦12勝という成績を残し、GI勝利は「7」を数えた。また、種牡馬としてもその強さを産駒に伝え、5頭のダービー馬をはじめ多くのGIホースの父となり、既に産駒の
JRA・GI勝利数は「51」。現役時代と同様に、日本競馬界を牽引してきた。
今回はこの稀代の名馬への追悼企画として、新馬戦からラストランとなった
有馬記念まで、
ディープインパクトの現役時代全14戦を改めて振り返る。
■いきなりさく裂したポテンシャルの高さ
ディープインパクトは2002年3月25日に現在の安平町、北海道勇払郡早来町のノーザンファームで生を受け、当歳セレクトセールで金子真人氏に7000万円で落札される。当時は体つきが華奢だったこともあり、
サンデーサイレンス産駒としては比較的安価なほう(同年、
サンデーサイレンス産駒の「
ダンシングキイの2002」は当時の当歳世界レコードを更新する3億3500万円で取引された)での落札価格だった。
2004年の秋、デビューをめざして栗東の池江泰郎厩舎に入厩すると、12月にデビュー戦を迎える。後に
マイラーズCなどを制した
コンゴウリキシオーら9頭が顔を揃えるなか、単勝オッズは1.1倍と断然の人気に。
兄姉には同年のクラシック路線を賑わせた
ブラックタイドやデビューから5連勝で2003年
スプリンターズSに出走した
レディブロンド、従兄に2003年
NHKマイルCの勝ち馬
ウインクリューガーと良血一族の期待馬に
武豊騎手が騎乗していただけに、この数字も頷けるだろう。
4番枠からスタートを決めると、逃げる
コンゴウリキシオーから3馬身程度後ろの4、5番手あたりに位置すると、最後の直線に向いたあたりでは、既に前を楽な手応えで交わし去り、そこからはスイスイと後続との差を広げ、最終的に4馬身差の圧勝。勝ちタイムは2分03秒8(良)。
また、この時の上がり3Fは33秒1。同日同距離で行われた1600万下の上がり3F最速が34秒0と考えると、それを大幅に上回る時計を悠々と記録したポテンシャルの高さは明らかで、前評判を超える走りを見せたと言っても過言ではない。これから先どんな走りを見せてくれるのかに期待が膨らむデビュー戦となった。