まず展開を考えると、逃げ候補として挙げられるのは
エイシンティンクル、
クロコスミア、
ロードヴァンドールあたりになります。金、土の2日間ともに雨の影響を受けるので、当日の15時にどの程度の馬場状態なのか読みづらいのですが、恐らく、不良に近い状況になるでしょう。そうなれば、ペースこそ速くなるものの、時計はかかる可能性が高くなります。
前走、出遅れ気味の
エイシンティンクルがスタートさえ出ればスピードの違いで先手を奪うはず。
クロコスミアは自在性があるうえに、戸崎騎手騎乗で控える競馬も考えられます。
ロードヴァンドールは行き脚がつきづらいタイプなので、ハナではなく番手で流れに乗る形で先行するでしょう。結果、当初見込んでいたスローではなく、札幌2000mのコース形態を加味しても速い流れになるとみています。
では、ここからは有力馬それぞれを見ていくことにしましょう。まずは
クロコスミアですが、牝馬限定のGIで好走しているように、自分のパターンにハマれば重賞でも通用するタイプ。しかし、昨年の
札幌記念や過去の
クイーンSで崩れているように、今年のレベルの高さやペースに対応できるとは思えません。穴人気が予想されますが、基本的に印はつけない予定です。
続いて、昨年の覇者
サングレーザー。昨年は前が速くなる展開と内枠が功を奏しましたが、そもそもGI級のメンバー相手だと後ろ過ぎるポジションも影響し、ワンパンチ足りないのが現状。しかし、今年もペース自体は流れそうで、引き続き岩田騎手で昨年のようなインで構える競馬ならば、躍進が期待できます。急遽、ここは評価を上げたい馬で、とくに内枠ならば要注意です。
フィエールマンはゲートにやや不安があるタイプですが、札幌2000mのコース形態を考えれば挽回が可能で、前が流れる競馬ならば気にする必要はありません。また
AJCCの走りを見る限り、小回りへの適性に関してもまったく問題ないでしょう。ただし、極端に雨の影響を受けた馬場状態はプラスとはいえませんので、人気を加味して対抗に落とすのも手です。
ブラストワンピースの
目黒記念は斤量59キロと馬場、ペースに戸惑った敗戦と理由は明白。ベストの札幌2000mならば、巻き返しの可能性は高いはずです。ただしコース、馬場適性は高いものの、当初予想していた展開よりもペース自体が速くなる可能性が高いことが、評価を非常に難しくしています。外が伸びる馬場はこの馬にとってベストな条件ですので、3番手評価以内には押さえたいところです。
逆に、前走に不満が残ったのが
ワグネリアンです。前走は最高の形でレースをしながら、勝ち馬を捕らえることができず、底を見せた感のあるレースでした。さらに小回りの札幌でのレースは、
皐月賞や
大阪杯での走りを見ても決してプラスとは言い難い条件。雨の影響も加わって、加速する前にレースが終わる可能性も否めません。
一方で、巻き返しを期待したいのが
ペルシアンナイト。 近2走はスタート直後の不利が影響する敗戦で、昨年の
マイルCSや
大阪杯の走りができればGIでも通用する馬。洋芝適性も不安がなく、2000mの距離も対応可能だと思います。雨が降って前が流れる展開となれば、この馬にとって最高の条件が整った印象で、今回期待の1頭として取り上げたいところです。
雨さえ降らなければ人気でも
フィエールマンを◎にする予定でしたが、台風の影響で馬場が渋ることで展開が速くなるなら、別の馬から攻めるのも手です。とくに
ペルシアンナイトや
サングレーザーに関しては条件が揃っているので、注意すべきといえるでしょう。
ギリギリまで雨の状況や馬場、枠などを精査したうえで最終的な予想を打ちたいと考えていますので、ぜひお楽しみに。
(文=倉本匠馬)