今週末で終幕する札幌開催は、先週日曜(25日)の新馬戦(芝1200メートル)は直前まで函館で調整した
コスモカルナックがV。その前週の2鞍を制したのも函館在キュウだった
ポレンティア、
ホウオウピースフルの2頭。とりわけ、今年はウッドコースのある函館追い切り組が顕著な成績を挙げている。
今夏は美浦のウッドコースが改修中で使用できず、しばしばその効果について議論に上がっていた。22日に閉場した函館競馬場での調整馬が、札幌2歳戦の総決算であるGIII
札幌2歳S(31日=芝1800メートル)でも好走するようだと、その存在価値は様々な意味で高まりそうだ。
ぎりぎりまで函館で調整した馬は、強行軍を考慮して
コスモス賞出走を見送った
サトノゴールドや、今回と同舞台の新馬戦を快勝した
アールクインダムの名がまず挙がるが、当欄はあえて福島での新馬勝ちから函館入りして臨む2頭に注目している。美浦トレセンと札幌競馬場の間に位置する立地条件も含め、函館での調整を選択した両馬の走りはウッドコースの有無にとどまらず、大いに考査されてしかるべきだ。
まずは福島開幕週の芝1800メートルで初陣を飾った
コンドゥクシオン。この日は不良馬場での施行で、いわゆる開幕週の絶好馬場とは趣を異にしたが、その分、時計のかかる洋芝への適性を示した可能性がある。前走後はノーザンファーム天栄(福島県)での放牧を挟んで函館入り。地理的に美浦トレセンから徐々に北上しつつ調整を重ねてきた形で、ウッドコースでの1週前追い切りでも、はつらつとした動き。併せ馬で先着した。
「初戦がものすごい道悪でしたから、パワーがあるのは間違いないですね。それにデビュー戦は、まだ馬体には緩さの残る状態だったんです。“少し(攻めが)足りないかな?”くらいで勝ってくれたので改めて能力を感じました。セールスポイントは、やはり洋芝が合いそうな走りってことになるんでしょうけど、稽古で乗った助手に言わせると追ってからがいいようです」とは担当の佐々木キュウ務員。道悪での勝利が洋芝適性を連想させるのは当然として、気になったのは“追ってからがいい”の部分。通常だと瞬発力といった決め手につながりそうな表現が洋芝適性以外のプラス
アルファの魅力を感じさせる。
もう一頭は、その2週後に同じ福島芝1800メートルを制しての参戦となる
ディアセオリー。こちらは良馬場施行だったため、勝ち時計の1分50秒6は
コンドゥクシオンより3秒2も速い。この数字を時計のかかる洋芝と照らし合わせ、どう評価するかがカギになる。
こちらは
キーンランドCに出走した
ペイシャフェリシタ(7着)とともに函館で調整。調教をつける中垣助手は本来の担当者ではないそうだが「函館に来て初めて稽古に乗りましたが、背中の感触やフットワークがすごくいい。この兄姉は気難しいのが多いんですけど、今のところそんな感じはしないですからね」。
同助手は現役時
JRAで4勝した
ディアコンチェルトを担当していたこともあり、この血筋の酸いも甘いも知る。その上で「千八の距離を狙って新潟(2歳S)ではなくこちらへ。美浦にいた時は少し夏負け気味と聞いていたんですが、函館は涼しいから、みるみる状態を上げています。藤岡(佑)騎手もすごく気に入ってくれています」。新コンビの鞍上は函館入りして最初の追い切り(7日)、1週前追い切り(21日)と2度騎乗して好感触を得た。新潟の軽い馬場以上に、距離にこだわったあたりにも勝負気配を感じる。
本来なら亜流とされる他場デビューの2頭が、好調“函館ウッド”の威力も借りて
セオリーを超えた走りを見せられるか? 大いに注目している。
(立川敬太)
東京スポーツ