クラシックやGIの前哨戦で、しばしば話題になる同一オーナーの使い分けは、何もビッグレースに限ったことではない。デビュー勝ちに大きな価値のある新馬戦などは、なるべく有力馬の競合を避けるし、条件戦でもこういった“仕分け”はない話ではない。
今週の
小倉2歳Sも、どうやら、そうしたムードが漂っている。開催2週目の新馬戦を6馬身差で完勝した
カーフライタークはレース後、放牧に出され、9月21日の
ききょうS(オープン・阪神芝内1400メートル)を目標にすることが決定した。
同コースの
小倉2歳Sを使えば上位争いは確実だったが…。勝った翌週、高野調教師は
小倉2歳S参戦の可能性について「同じオーナーで強い勝ちっぷりを見せた馬もいますから」と、この時点で、すでに後ろ向きな姿勢を見せていた。
その強い馬というのは、開幕週に同じ1分09秒1の勝ち時計で快勝した
カイルアコナ(高橋忠キュウ舎)だ。オーナーは同じサンデーレーシングなら、鞍上も同じ川田。そして同タイムでの圧勝…。なるほど、これだけ“キャラ”が似ていれば、同じレースにぶつけることにあまり意味はない。
つまり、この使い分けから推察されるのは、
エピファネイア産駒の
カーフライタークには距離の融通性はあるが、
キンシャサノキセキ産駒の
カイルアコナは1200メートルにより適性がある=小倉2歳を狙うということだろう。
「父が
高松宮記念を勝っていて、お母さんも1200メートルで活躍(3勝)。おばあちゃんは
函館2歳Sを勝っていますからね。血統的にはバリバリのス
プリンターでしょう。初戦でもスピードの違いで前に行ってしまった感じで、この血統の速さをしっかりと受け継いでいます」とは中塚助手だ。
同馬にデビュー戦で4馬身という決定的な差をつけられた2着
メイショウベンガルは、次走の未勝利戦で5馬身差V。このことからも
カイルアコナの持つスピードが分かるだろう。天下のサンデーレーシングが絞って投入してきたこの馬が、夏の小倉をきっちり締めくくってくれそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ