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調教師試験の難しさを現役調教師に聞いてみた/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2019年08月30日(金) 18時05分
 夏競馬が終わりに近づくと同時に迫ってくるのが新規調教師試験。毎年100人前後が受験し、合格者は数人。合格率は10%未満という狭き門だ。今年の一次試験は9月18日。あと1か月を切り、受験者たちの試験対策も佳境に入る時期だ。

 我々にはなじみの薄い調教師試験とはいったいどういうものなのか? まずは寺島調教師に聞いてみた。

「僕の場合は手探り状態で臨んだ1回目が一次で不合格。しっかり準備して臨んだ2回目は一次はパスしたものの、二次で不合格。3回目での合格です。一次は筆記で、二次は面接。就職活動の時も面接の経験はそう多くはなかったので、最初は雰囲気に圧倒されました。頭で分かっていることでも、うまく答えられなかったりしましたね」

 では三度目の正直に向けて、どういう対策を行ってきたのだろうか?

「一次の勉強は一人でやっていました。ひたすら法規などの暗記作業をしましたし、JRAが開く講習会にも参加し、知識を詰め込みました。二次の対策は大学の馬術部の同期で、先に調教師になっていた武井調教師に相談して、ノウハウを聞いたり、疑似面接をやってもらったりしましたよ。心強い存在でしたね」

 持つべきは友。大学の同期の協力もあって狭き門をくぐり抜けたというわけだ。

 今年も昨年に続き、蛯名、四位両騎手が調教師試験受験を表明。ともに騎乗を控え、試験対策に専念している。騎手から調教師への転身はそう簡単なことではないのだろうか? 今度は渡辺調教師に話を聞いた。

「初めて受験したのは現役騎手の時。鉛筆を持って机に向かうことへの戸惑いは大きかったですし、週末のレースへの切り替えも難しかった。最初の受験が終わった時は“歯が立たない”と思いましたね」

 やはり、騎手と試験勉強の両立は困難。では“歯が立たない”状況からどのようにして合格に至ったのか?

「僕の場合は攻め専をやっていた2年間がかなり大きかったですね。まず(所属していた)沖キュウ舎に空きが出て…。その時、持病の腰痛がひどかったこともあって、思い切って攻め専に転身しました。騎手を引退したことで、勉強に本腰を入れられるようになりましたし、出馬投票や日頃の書類の処理など、事務手続きの仕事も試験につながりましたからね」

 今年は記者の周りに調教師試験の受験を予定しているキュウ舎関係者が多い。すでに数回の受験経験のある某助手は「できることはやってきたから、今は確認の段階。何度も受けているので、いい加減受からないと恥ずかしいよ(笑い)」。また今年が初受験の某助手は「最初から受かるとは思っていない。まずは雰囲気をつかむところから」

 今年にかける方もいれば、今年を今後の布石と捉える方も。おのおのの試験の位置付けはさまざまだが…。記者としては、遠くない将来、調教師となったこの方々に取材をしに行けることをただ願うばかりである。

(栗東の分析野郎・岡崎翔)

東京スポーツ

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