「
京成杯AH・G3」(8日、中山)
秋風が背中を押したか、東西ともに驚がくのレコード決着となった。
京成杯AHは
トロワゼトワル(4番人気)が、影をも踏ませぬ逃走で1分30秒3の日本レコードを刻み、重賞初制覇を果たした。一方、
セントウルSは
タワーオブロンドン(1番人気)が、中団から鮮やかに差し切って快勝。1分6秒7のコース&レースレコードをたたき出し、逆転でサ
マースプリント王者に輝いた。
これぞ横山典の真骨頂だ。4コーナーを抜けても、まだ後続の姿ははるか後ろ。最後の急坂でも脚色は一向に鈍らない。接戦の2着争いを尻目に3馬身半差の快勝劇。大逃げを打った
トロワゼトワルが、余裕の独り旅で重賞初Vを決めた。
前半3F通過は33秒3。外回りの頂点では8馬身ほど後続をちぎる形に持ち込んだ。スタンドの安田隆師は「33秒台?これは速い」と思ったというが、鞍上の横山典はマイペースを確信していた。
「体内時計がしっかりしているジョッキーだと、このペースは速い。でも馬と会話していると、このペースは速くない」。開幕週、斤量52キロ、そして息遣い。考えられる全ての要素から、相棒にとって決してハイペースではないと判断した。
「びっくりしますね。出来はすごく良かったのですが、古馬になって初めての重賞。壁はあるだろうと思って控えめに話していたんだけど…。これなら、もっと吹いておけばよかった」と指揮官。4歳夏の地力強化は、想像をはるかに超えていたようだ。
1分30秒3-。今年の
ヴィクトリアマイルで
ノームコアがたたき出したJRAレコードを、0秒2更新する驚異のVタイム。6F通過66秒8は、
セントウルSを制した
タワーオブロンドンと0秒1しか変わらない猛烈なスピードだ。「次?1600メートルか1400メートルだと思いますが、未定。考えます」とトレーナー。この秋の短距離&マイル路線に、とびっきりの新星が現れた。
提供:デイリースポーツ