3着までに
菊花賞の優先出走権が与えられる第73回
セントライト記念のゲートが開き、18頭が中山のターフに飛び出した。
最内から出た
ザダルが好スタートを切り、
横山典弘が乗る4枠8番の
リオンリオンがスタンド前でハナに立った。
それらに14番
アトミックフォース、17番
ナイママ、18番
ランフォザローゼスら外枠の馬たちが並びかけ、かわしにかかりながら1コーナーに入って行った。それにより、流れがやや速くなった。
横山は外の馬たちを先に行かせ、がちっと手綱を抑えて3番手の内にポジションを固定した。
逃げずにレースを進めるのは、横山との初コンビとなった2月の
水仙賞(3着)以来4戦ぶりだった。
「久しぶりに抑える競馬でしたが、いい感じで行けました」と横山。
重馬場でありながら1000m通過が59秒8というよどみない流れとなったこともあり、
リオンリオンは、やや行きたがりながらもギリギリのところで折り合っていた。
逃げる
アトミックフォースから最後方までは15馬身ほどの縦長になった。
3コーナーで後方3番手にいた
ニシノデイジーあたりも浮上してきそうな展開にも見えたが、先行勢の手応えも悪くない。
なかでも
リオンリオンは、道中抑え気味だったそのままの、抜群の手応えで内を進み、前が開くのを待っている。
アトミックフォースが先頭のまま直線に入った。その外にびっしり馬体を併せ、
リオンリオンの前を塞いでいた
ナイママが下がり加減になった。それによって生じた
アトミックフォースの外のスペースに、横山は
リオンリオンを誘導し、スパートをかけた。
リオンリオンは横山の左ステッキに応え、ラスト200m地点で
アトミックフォースをかわして先頭に躍り出た。
そのまま後続の追い上げを完封し、2着の
サトノルークスに2馬身差をつけてフィニッシュ。
青葉賞以来となる重賞2勝目をマークし、
菊花賞に向けて勝ち名乗りを挙げた。
「まだよくなってほしいところもあるけど、馬場にも対応してくれたし、秋初戦としては言うことがありません」
菊本番に向け、勝ちパターンに幅ができたことを示す一戦となった。
(文:島田明宏)