競馬記者の基本は足で稼ぐ――。「トレセン発(秘)話」火曜担当の高岡功記者が原点に立ち返り、第24回
秋華賞(13日=京都芝内2000メートル)の“第3の馬”探しの旅に出た。もちろん、「クレイジージャーニー」ではない。ガチの「
グレートジャーニー」だ。
桜花賞馬
グランアレグリアと
オークス馬
ラヴズオンリーユー。牝馬3冠最終戦・
秋華賞は、春のクラシック2冠を分け合った2頭が不在の中で行われる。
代わって
ヒロインの有力候補に躍り出たのは2歳女王
ダノンファンタジーに、大舞台で好勝負をし続けている
クロノジェネシスあたりだろうが…。これに続く“第3の馬”については意見が分かれるようだ。
「
サトノダムゼルは怖い存在だと思うよ。まだキャリア3戦で、重賞も使ったことがない馬とはいえ、デビューから負けなしでしょ。一度でも負けている馬と、一度も負けていない馬とでは大きな差がある。無敗というのは、底を見せておらず、それだけ可能性を秘めているってことになるわけだからね」
秋華賞に登録しながらも、回避を決めた
コパカティの佐々木調教師の発言だ。これを出発点に、当事者の感触を確認しようと、
サトノダムゼルに騎乗する
M.デムーロに探りを入れたところ、また違った方向へ…。
「能力が高いのは間違いない。ただ、幼いところがまだあるからね。大舞台でどこまでやれるか、楽しみはあるけど…。第3の馬?怖いのは戸崎(圭)さんの馬だね。この前のレースでは(自身が騎乗した
グラディーヴァが)スーッと引き離されてしまったし、あの馬はかなり走るよ」
M.デムーロから名前が挙がるとしたら、自身が前走まで主戦を務めていた上がり馬
エスポワールと予想していたのだが、意外にも挙げたのは
紫苑Sを制した
パッシングスルーだった。
想定外の展開にしばしフリーズ。
パッシングスルーが有力馬の一頭なのは間違いなかろうが…。妙味を重視すれば、
紫苑Sでこの
パッシングスルーに頭の上げ下げのタイミングだけで負けた形の
フェアリーポルカも要警戒ということにならないか?そんな考えが頭をよぎった。というわけで今度は担当の菊本助手のもとへ。
「
紫苑Sで増えていた16キロは成長分ですね。デビュー前に坂路で追い切ってトモを痛めたことがあったので、春先はトラックでしか調教していなかったんですけど…。今はトモもしっかりしたので、坂路でも普通に追い切れるようになっていますよ」
確かに坂路野郎もその点は確認済みだ。
スッと好位のインにつけて、直線でもしっかり伸びてきた
紫苑Sのレースぶりからも分かる通り、抜群のレースセンスが
フェアリーポルカの最大の魅力。これはゴチャつきやすい京都内回り2000メートルを乗り切るための大きな武器となる。あとは内枠を引くなどの「運」も必要となるが…。
「(
フェアリーポルカの)担当は持ってるヤツなんだ。今、やっているもう一頭が
タイセイビジョン。オープン馬2頭の担当ってことだからね」(西村調教師)
さらにはオーナーの山本剛士氏も、個人馬主としてはこの
フェアリーポルカが初めての持ち馬だとか。それがいきなりGIの大舞台に出走する活躍を見せているのだから、こちらの強運も相当なものだ。
“持ってる”担当&馬主の馬となれば、理想の枠を引き当て、持ち味が最大限に生きる競馬になる可能性大?坂路野郎が指名する“第3の馬”は、この
フェアリーポルカに決まりだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ