日本馬3頭が揃って完敗を喫した先週の
凱旋門賞。“強さとは何か”を改めて考えさせられた一戦だが、史上初となるエネイブルの3連覇も実現せず、個人的には残念な思いが強く残った。加えて気になるのは、参戦した日本馬の心身のダメージ。彼らにはまだ日本でやるべきことが多々あるはず。最高峰たる舞台には、やはり「国内無敵」を誇る最強馬が挑んでこそ意義があると感じるのは当方だけか。
さて“祭り”の後に待っているのは、牝馬3冠の最終章・
秋華賞。昨年は
アーモンドアイが史上初の
オークスからぶっつけVを飾ったが、それは明らかな能力差があればこそ。基本的には
トライアルを使った組に分がある一戦だ。
さらに付け加えれば、TR勝ち馬よりも負け組のリベンジが目立つ舞台。その意味で注目するのが、休み明けの
紫苑S3着から上積み大と感じる
カレンブーケドールである。
休養明け馬の
ジャッジの難しさ――。話はズレるが、今秋それを最初に痛感したのは
ウインブライトが9着惨敗を喫した
オールカマーだった。馬体も動きも申し分なく映った当該週の追い切りだったが、管理する
畠山吉宏調教師は一抹の不安を抱えていたという。
「確かに太く映らなかったし、実際にいい時計も出た。ただ、懸念したのは春と違う美浦のウッドコース。これまで坂があった直線が平坦に変わったことで、調教で馬にかかる負荷も3割減となっていた。(松岡)騎手が八・五分の仕上がりと感じたウッドの走りも、実質は七掛けの六分程度だったかもしれない」
これが秋初戦惨敗の真相か。そして同様のことは前走の
カレンブーケドールにも言えるだろう。
「春はコースで攻め込んでいた馬が、前走はウッド閉鎖も相まって坂路オンリー。それも速いところは2本だけ。あれで勝てるのは
アーモンドアイだけですよ(笑い)」
こう打ち明けるのは担当の中村雄貴助手。当方も負荷足らずと見て印は△にとどめたが、それでも0秒1差の接戦に持ち込むあたりが
オークス2着馬の底力。むろん、大一番たる今回は調整に余念がない。
「一度使って体はグンと張りが出たし、同じ坂路調教でも走りはガラッと変わってきた。
トライアルで負けて本番を頂く、先輩の“
アパパネ方式”で頑張ります(笑い)」と中村クン。
狙うは国枝厩舎の
秋華賞連覇。厩舎力における“強さとは何か”。それを知らしめる走りを同馬には期待したい。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ