まだ2歳戦が始まる前の今年4月、当方が吹聴して回ったのがこのセリフ。自分が担当する各厩舎でPOG取材を重ねた際、おしなべて高評価を受けたのがハーツ産駒だったからだ。自慢ではないが、この“予言”は現時点でおおむね当たっていよう。出世レース(17年
ワグネリアン)として定着する4回阪神・
野路菊Sは、
マイラプソディが5馬身差の豪快V。GIII
サウジアラビアRCは
サリオス、
クラヴァシュドールがワンツーフィニッシュ。いずれもクラシック級の評価を受けて順調な
ステップを進めている。
「前走の
サリオスは強かったね。切れるというより速い脚が長く続く。あのレースぶりなら距離が延びても大丈夫だね」
先週美浦でラ
イバル馬を高く評価したのは、手塚厩舎の腕利き森信次郎厩務員だった。かつての
アユサンしかり、
マウレアしかり。彼が他厩舎の馬に言及する時は、決まっていずれ迎える対決を意識した時である。
「緩やかな成長曲線をたどる産駒だけあって、ウチの馬はまだ幼児体形。もう少し上に伸びてくれたら理想だけど、現状であれだけ走れるのも能力があればこそかな」
森厩務員がこう語るのは、19日の東京・OPアイビーS(芝1800メートル)に出走を予定する
ハーツクライ産駒ワーケアだ。3東・新馬戦は次位に0秒7差をつける最速上がり(33秒2)でV。2着
ウインカーネリアンは後にOP
芙蓉S2着、3着
ゴルコンダはGIII
札幌2歳Sで1番人気の支持を集めた。他にも4、5、7着馬が勝ち上がっているのだから、ハイレベルな組み合わせでの完勝だったのも確かである。
「1週前は南ウッドで楽々と好時計(5ハロン64・8秒)をマーク。牧場でやってきた分、少しピリピリしているけど、競馬に行くとズブいくらいだから大丈夫だろう。詰めて使わずに成長を待ちたいクチだし、このあたりで取りこぼしたくないな」
来春のクラシックに向けてハーツ産駒“3本の矢”を早々に形成するか。わが予言的中の期待も込めて重要な2戦目を見守りたい。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ