もう20年以上も前から「最近の
菊花賞はスローペースから直線だけの競馬なので、距離適性は関係ない」と言われているのですが、そんなことはないと思います。たとえスローから上がりの勝負になっても、それでも『後方で折り合いに専念して、追い出しは直線まで待とう』という馬のレースではありません。3コーナー、自分から仕掛けて行くぐらいの気構えがないと勝てるものではありません。
いくら京都の外回りが直線404mであろうと、4角で後方に位置取っているようでは相当に望みが薄いのです。過去を30年以上さかのぼっても、4角後方からの追い込みを決めた
菊花賞馬は、1996年の
ダンスインザダークぐらいのものではないでしょうか。
多くの3歳馬にとって、距離は延びれば延びるほど未知数であり、不安が付きまとうもの。それは騎手や陣営の考え、つまりは“後方で折り合いに専念”というレースぶりになって形に現れます。一般的に距離が延びればペースは遅くなるので、距離に不安がなければ(強い馬は)自然と前目に位置することになるはず。
それを体現していたのが、2015年の
菊花賞で◎を打った
キタサンブラックでした。母の
父サクラバクシンオーという血統から、3歳時は走るたびに距離不安を指摘されていた
キタサンブラックでしたが、そんな声とは裏腹に、レースぶりは距離が延びるほど前へ、前への強気なものに。
日本ダービーで14着に大敗してもその積極性が変わることはなかったのですから、陣営の距離に対する自信は相当なものだったのではないかと考えられます。
極論を言うと、他の長距離戦はともかく、
菊花賞に限っては『本当に長距離が得意かどうか』よりも『陣営が距離に自信を持っているかどうか』のほうが、よほど重要なのです。よく騎手や陣営のコメントを判断基準にする方も見受けられますが、そうしたコメントは往々にして希望的観測も含まれるものなので、陣営の距離に対する自信度はコメントではなく前へ、前という積極的なレースぶりに現れるものだと考えています。
じつはそう言いつつも、近2年の
菊花賞は4角で中団に位置していた
キセキと
フィエールマンが勝っているのですが、
キセキの年は走破時計が例年よりも15秒以上も掛かるような特殊な不良馬場での競馬。2018年
フィエールマンが勝った年は、これこそ例外の超スローペースでした。
過去、スローペースの
菊花賞と言えば、1996年
ダンスインザダークと翌97年
マチカネフクキタルのラスト4ハロンラップが有名でしたが、
フィエールマンの年も前述した2年に負けず劣らず、別格の上がり勝負になりました。ゆえに、この2年の例外で自説を曲げるつもりはありません。やっぱり
菊花賞の狙いは、この距離に自信を持つ馬です。
今年の
菊花賞は『指定勝負レース』になる予定ですので、
ウマい馬券での最終結論に、ぜひご注目ください。
(文=岡村信将)
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