菊花賞は、実力的に抜きん出た中距離馬が好走する一方で、人気薄で突っ込んできた伏兵には必ず血統的な裏付けがある。
JRAでは年間1700レースあまりの芝競走(平地)が行われる。そのうち、芝3000m以上のレースはわずか6レースにすぎない。ごくごく少数の特殊条件だ。
かつてのメジロ牧場のように、強いステイヤー作りを指向した馬産を行ったとしても、対象となるレースがあまりにも少ないため、実を結ぶことはほとんどない。その結果、現代のサラブレッドはマイラー〜中距離指向が強まっており、
菊花賞向きのバリバリのステイヤー、という馬はそうそう存在しない。
しかし、なかには長距離適性に恵まれたものもいて、そうした馬は中距離でさほど強く見えなくとも、3000mでは水を得た魚のように走る。17年の2着馬
クリンチャー(10番人気)は母の父が
ブライアンズタイム。父として2頭の
菊花賞馬を出したほか、3000m以上の重賞を計7勝したスタミナ型の種牡馬だった。
16年の2着馬
レインボーライン(9番人気)は父が
ステイゴールド。芝3000m以上の重賞を計11勝しており、これは00年以降トップの成績。
菊花賞は2勝している。繰り返しになるが「人気薄で突っ込んできた伏兵には必ず血統的な裏付けがある」のだ。
冒頭で「実力的に抜きん出た中距離馬が好走する」と記したが、血統無視でどんな馬でも来る、というわけではない。過去5年間に3着以内に入った15頭の父を調べると、14頭までが現役時代に芝2400m以上の重賞を勝った経験がある(うち13頭は芝2400m以上のGI)。
現役時代にマイラーだった種牡馬は分が悪い。1番人気が予想される
ヴェロックスは、父
ジャスタウェイが芝1600〜2000mの重賞しか勝っていない。母方のドイツ血統でスタミナを補っているとはいえ、ネガティヴなデータといえるだろう。
サドラーズウェルズ、ロベルト、リボー系、ドイツ血統を抱えた馬は要チェック。過酷な長丁場で最後に頼りになるのはヨーロッパで実績を残してきたステイヤー血統だ。現役種牡馬では
ハーツクライ。
菊花賞では過去2着が最高とはいえ、長距離戦における実績は現役種牡馬のなかで抜きん出ている。
(文=栗山求)
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