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【勝負の分かれ目 菊花賞】節目の菊花賞を絵になる男・武豊騎手が、かつての相棒の産駒で勝利

  • 2019年10月20日(日) 20時10分
「勝てるレースをしようと思っていました」

 武豊はレース直後にそう言った。その言葉の意味するものが、ワールドプレミアの序盤の走りからも見て取れた。

 節目の第80回菊花賞。武が騎乗する3番人気のワールドプレミアは、「いい枠だった」という5番枠を生かし、積極的に好位の内目のポジションを取りに行った。

 1周目の3、4コーナーで外から前に入られて手綱を引く局面があった。が、それさえも、位置を取りに行った先で折り合わせるという、「勝てるレース」するための戦術に取り入れるかのようにして、正面スタンド前で馬をなだめることに専念した。

「道中は折り合いがついていたし、上手に走ってくれました」

 1コーナーを回るまでは、やや重心を後ろにかけて抑えているように見えたが、武の感覚としては掛かっていたのではなく、抜群の手応えで進んでいた、ということだろう。

 1000m通過は1分2秒4というゆったりした流れになった。

 武のワールドプレミアは、1番人気のヴェロックスをマークするように進む。

 2周目の3、4コーナーで、武は内を回りながら、前があくのを待っていた。京都の外回りコースは、特に長距離戦では、直線の入口で馬群がバラけやすい。

 直線入口、ワールドプレミアが先行していたヴァンケドミンゴを内からかわすと、外を回ったヴェロックスと並走するような格好になった。

 武は、ヴェロックスに馬体を併せに行くのではなく、左鞭を使ってワールドプレミアを叱咤した。そして、外から伸びてきたサトノルークスの追い上げを首差で封じ、先頭でゴールを駆け抜けた。

 前走、3着に終わった神戸新聞杯でも、阪神芝外回りコースの4コーナーを、京都の芝外回りコースを回るときと同じように勢いをつけて回るなど、本番に向けてのシミュレーションはできていた。

 武にとって菊花賞の勝利は、ワールドプレミア父ディープインパクトで制した2005年以来。ディープの死後、産駒による初のGI勝利は、ディープの主戦だった武の手綱により、節目の菊花賞で達成された。

(文:島田明宏)

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