「みやこS・G3」(3日、京都)
幸の手綱さばきがさえ渡った。7番人気の
ヴェンジェンスが、大外から鮮やかにまくって重賞初タイトルを手にした。父
カジノドライヴが米G2制覇(ピーターパンS)を果たした千八で開眼。産駒初の重賞ウイナーとなった遅咲きの栗毛馬は、優先出走権を獲得したチャンピオンズC(12月1日・中京)へ向けて歩みを進める構えだ。
豪快な大外まくりを決めた。7番人気の伏兵
ヴェンジェンスが重賞初制覇だ。
砂をかぶるのは避けたい馬。ゆえに試練の最内枠だった。「器用な競馬ができるタイプじゃないので、展開の助けが欲しかった。いい流れだった」と幸は振り返る。
前半3F34秒9-5F59秒0と、千二のような激流は願った通りだった。後方に控えて腹をくくると、3角手前からステッキを入れてロングスパート開始。大外から馬群をのみ込み、そのまま押し切った。「一気に動かないと嫌気がさしたり、やめたりするので。イメージ通り。馬が応えてくれた」と相棒をねぎらった。
鞍上は18年ヴィクトリアM(
ジュールポレール)以来、久々の重賞勝ち。「ケガをして重賞を勝ててなかったのでうれしい」。昨年11月11日に落馬して右肘開放骨折の重傷を負った。全治6カ月の診断を受けたが、3カ月でスピード復帰。努力と意欲が実った。
大根田師も笑いが止まらない。「一番嫌な枠だった。幸とは“中途半端な競馬はやめよう”と話をしていた」。最悪な枠から最高の結果を引き寄せた。千四で5勝した馬が、前走は初の千八で2着。そして、今度は重賞Vだ。「前走、スタミナがあったから、またこの距離に使ったんだ。勝つ時はうまくいくね」。中距離転向2戦目でG1の優先出走権を獲得し、師は「チャンピオンズCを視野に。馬の様子を見て決めたい」と意欲を見せる。6歳で開眼した異色のダートホースが、さらなる高みを目指していく。
提供:デイリースポーツ