展開面で今回、逃げ候補として挙げられるのが
クロコスミア、
サラキア、
ゴージャスランチあたりになります。
クロコスミアもしくは
サラキアが先手を取る形も、どちらも無理にハナをこだわるタイプではなく、競り合う可能性は非常に低いので、かなりのスローペースに落ちる可能性も十分にあり得ます。
また、京都は3〜4コーナーから下り坂の特殊なコース形態。急にトップスピードに乗ってヨーイドンとなれば、外目の差し馬は4角でかなり外に振られるので枠にも注目したいところです。
先週の馬場を見る限りでは内回りコースこそ時計はやや掛かり気味ですが、外回りコースはやや速めの決着が続いています。直線は外目が良い馬場状態で、スローペースで前が残るケースも非常に多いので、そのあたりには注意したいところです。理想は極端な位置取りの馬よりも、好位からの競馬を得意とする自在性のあるタイプです。
では、有力各馬を分析していきましょう。まずは、
秋華賞を制した
クロノジェネシス。その前走は展開面と枠に恵まれる競馬でしたが、ぶっつけ本番でのレースを考えると価値のある勝利でした。また、距離延長に関しても2200mであれば問題なさそうで、緩い流れに対応する能力も兼ね備えています。叩いたここは引き続き注意が必要で、他の3歳牝馬のレースを見ても3歳と古馬の実力差はほぼ互角に近いので、乗り方さえ失敗しなければ上位に来る可能性は高そうです。
続いて、
ラヴズオンリーユー。前走の
オークスは前が流れた展開を見逃さない勝利で、4連勝中とまだまだ底を見せていません。直線やコースを問わず、一定の力を発揮できるのがこの馬の長所で、京都外回りコースに関しても新馬戦で経験している強みもあります。枠に応じた競馬も可能であることを考えると、休み明けのハンデさえ克服できれば5連勝も期待できる、楽しみな1頭です。
4歳の代表格
ラッキーライラック。前走の
府中牝馬Sは、絶好の勝ちパターンから2頭に差される3着で、内容だけ見ると物足りなさを感じる競馬でした。ただ、スローペース濃厚のここならば再度チャンスがありそうで、スミヨン騎手への乗り替わりも大きなプラス要素といえます。2、3着には必ず取り上げたい馬で、相手候補の1頭として評価できます。
クロコスミアの前走の
府中牝馬Sは昨年同様に東京らしい競馬が響く敗戦で、やはりベストはマイルもしくは先手からの競馬と判断できます。ただし、この舞台は昨年、一昨年と2年連続で2着に好走しているように、2200m戦でもマイペースに持ち込めば今年も楽しめそう。同型の
サラキアとの兼ね合いがポイントとなりそうです。枠や当日の馬場次第で評価を柔軟に対応したいところで、展開は向くだけに必ず相手には入れたい1頭です。
スカーレットカラーも前走、
府中牝馬Sを使いましたが、この馬が最も力を発揮できる条件が揃っての好走。馬群が良くないタイプだけに18頭立てのスローペース、京都の外回りでは相当厳しい競馬が予想されます。馬群もしくは内を狙っていくレースとなりそうなので、よほど外枠を引かない限りは無印としたいところです。
前走、
府中牝馬Sで勝ち馬にこそ捕らえられた
フロンテアクイーンですが、
ラッキーライラックには先着したことを考えると及第点の内容。さらに、昨年の本レースでは勝負どころで前が詰まる非常に悔しい競馬で、自在性が生きる京都2200mのコースとの相性も抜群といえます。関東の津村騎手の騎乗はやや不安要素ですが、昨年と同じような競馬ができればアッと言わせる場面がありそうです。
今年ここまでの3歳VS古馬のレースを見ても、両者の実力はほぼ互角に近いだけに本レースに関しても非常に難解で、枠や展開によって結果が大きく変わりそうです。そうした状況であれば、自在性のある馬と騎手の腕が試されるレースとなる可能性は高く、特殊なコース形態をうまく利用した馬が上位に来る可能性が高いと思われます。
今年の
エリザベス女王杯では、まだまだ底を見せていない
ラヴズオンリーユーの取り扱い、
ヴィクトリアマイル3、4着の
クロコスミアと
ラッキーライラックの取捨選択など、難しい要素が多く含まれています。不気味な気配漂う
フロンテアクイーンにも注目したいところです。
もちろん、当日の馬場にも注視する必要があり、ギリギリまで考慮したうえで最終的な予想を組み立てるつもりです。大波乱もあり得る今年の一戦は攻めた予想で勝負する予定なので、ぜひ枠順確定後の最終決断に期待してください。
(文=倉本匠馬)