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クリソベリルを管理する
音無秀孝調教師
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JRAのGIを迎える今の思いを教えてください。
音無 どんな思いか、と聞かれても大して変わらないですが。今までと違うのは、メンバーが強いので“そのうち負けるのだろうな”と思いながら迎えています。そうしたら、今回かなと思っています。
――
クリソベリルのここまでの歩みを教えてください。
音無 厩舎に入ってきて、新馬戦を使った後は順調だったのです。その時に2歳のうちに賞金を加算して、できれば
全日本2歳優駿などを目標に掲げていました。
しかし、放牧した後に病気を発症して、半年あまり休んでいました。このことによって、3歳の時のドバイとかが目標にありましたが、それも全部駄目になりました。1勝馬のまま今年を迎えて、500万円以下の平場を使うことになったのですが、この間が非常に長かったですよね。その後は2ヶ月に1回ぐらいをずっと使ってきたというローテーションです。
――この中間の仕上がり具合は?
音無 2ヶ月ずっと空いていますが、これは2戦目以降は番組に合わせて使っているものですから、こういう結果になっているだけで、別に意図して2ヶ月に1回使おうとしているわけではないですね。
もう一つは、
兵庫チャンピオンシップの時が一番馬体重が多いのですよ。新馬戦は520キロ台ですが、この時は544キロで、成長した状態でした。ところが、ご存知のようにその後の
クリソベリルは体重が減っているのですよ。夏場に差し掛かっているから、2ヶ月開けても減っていったのかなという印象ですね。
――いまの馬体重についてはいかがですか?
音無 4週間前に帰ってきた時が560キロなのですよ。私たちは1回追い切るごとに2キロぐらい減ると思ってやっていますから。確かに1回やった後は558キロだったんですよ。2回目が556キロ。先週、やったら554キロかなと思ったら556キロだったのです。
それで、今日もやりましたけれども554キロになってたらいいな、と思ってるんですよ。中京に輸送しても550キロは切れないと思いますね。今回は大幅に体重増になってしまいますね。前走時から(比べたり)したらですよ、539キロだから。ですから、10キロは増えている可能性は大です。
だけども、それは時期が違うから。いまは寒くなってきてるから(馬体重は)減りませんし。夏場は減りましたでしょ。(厩舎に)帰ってきた時からそんなに減るわけではありませんし、これは仕方がないですね。
――まだ3歳です。
クリソベリルの成長具合はどのように感じていますか?
音無 今は確かに背が高くなってきました。今回は(放牧に出て)2ヶ月ですけどね。以前よりは背が高くなったなという印象はあるんですよ。550キロを超えているということで、腹が出ているかと思ったら腹は出ていませんし。付くところには肉が付いているから、あまり心配しなくていいのかな〜と思ってるんですけどね。馬自体は、ですよ。
――今朝の追い切りの評価は?
音無 僕の評価はあまり良くないですね。それは何故かと言うと、
ブラックスピネルが食らいついてきましたよね。ほぼ同タイムなのですが、先週は時計がかかっているのは馬場のせいかなと思うんですけども、
ブラックスピネルには楽に先着してほしかったなという部分はあるんですね。
ただ、
ブラックスピネルに松若騎手を乗せたことによって、軽いから結構動けたんですよね。その分だけだと思いますけどね。
先週は良かったです。反対に
ブラックスピネルには助手が乗りましたから。まぁ、
クリソベリルは同じ助手が乗っていますからね、変わってないんですけど。
――
クリソベリルの強みは?
音無 僕は
クリソライトも担当しましたが、
クリソライトは揉まれ弱かったんですよ。でも、全兄弟なのですが(
クリソベリルは)揉まれ弱くないです。だから、その点は全然心配していませんけれども。メンバーが一気に強くなるというところにはやっぱり不安はありますね。
別に弱いところを選んで使ってきたわけではないですけども、
日本テレビ盃は左回りを経験させたかったから使ったんですよ。だから、弱いメンバーを使ってきたわけではないというのは納得していただけたらいいな、と思うんですけれどもね。
――理想の流れは?
音無 今回、レースの流れとか枠順とかは考えるときりがないので、ここは自分のレースをしたらどうかな、と思っています。展開とかも全くわからないですね。
――あとはジョッキーに任せると?
音無 はい。スタートは最近いいですからね。デビュー当初は結構後ろからの競馬をしていましたけれども、今は自在に競馬できるんじゃないですか。
――中京のダート1800m、左回りコースです。文句ナシ、といったかんじですか?
音無 いや、文句はないことはないですけど。中京コースってね、コーナーが結構小回りなんですよね、ご存じのとおり。直線は長いですけども。これまでもずっと見ていますけども、1800mだと1コーナーでスピードダウンして、1コーナーまでが速くても2コーナーまでが遅くなって3コーナーからまた小回りだから。直線は長いですけど、後ろにいたのではきついという印象はありますね。
あまり言うと、川田騎手が乗りにくくなるのでこの辺にしておきます。
――まだ3歳、勝ったら来年への夢が広がりますね。
音無 勝ってくれたらいいですけども、負けたら負けたでショックも大きいしね、そうなったら来年のことは考えられないですよね。
――まずはこの一戦。
音無 そうですね。ここに集中していますね。
――相手関係は?
音無 ここ5回ずっと見ていて、離して勝っていますよね。それは確かに強いと思うんですよ。新馬、500万特にね。追ってないことも、ステッキがほとんど入っていないレースもありますし。かなり強いとは思いますけれども。レースの展開とか考えたときに強い馬が勝つとは限らないのが競馬ですからね。そういったところに不安があるんですよね。能力は通用すると思います。
――かなり人気を集めると思います。最後に意気込みを。
音無 何番人気か分かりませんが、これまでずっと1番人気に支持されてきて、それに応える結果を出してきましたからね。今回も相手は強いですけど、皆さんの期待に応えられるように頑張りますので、また応援して下さい。よろしくお願いします。
(取材・文:花岡貴子)