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厩舎ゆかりの血統を知り尽くす調教師が語った勝算 ウーマンズハート“全然違う”/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2019年12月06日(金) 18時00分
「間違いなく伸びてくるであろう手応えだったのにまるで伸びず、逆に前の馬に突き放されてしまった。まあ、見た感じの印象は良くなかったよね」とはヤマカツマーメイドの池添兼調教師。

 3番人気に支持されながら、伸び負けた前走のファンタジーS4着についてのコメントだが、その口調に“失望感”はなかった。それはなぜか?

「時計の速い決着になったときにどうかなと思っていたからね。お兄ちゃんもそんな感じがあったでしょ?」

 トレーナーの言う「お兄ちゃん」とは3歳春のニュージーランドTを筆頭に5つの重賞を勝ったヤマカツエースのこと。確かに同馬の重賞5勝の内訳は中山、中京が各2勝で、福島で1勝。時期にもよるだろうが、一般的には“時計勝負”になりにくいとされるコースだ。その特徴は妹にも受け継がれていると池添兼調教師はみているよう。ゆえに1分20秒台の高速決着に対応できなかったと考えている。

「兄がキングカメハメハの子で、妹はロードカナロア。血統的には似たようなものだし、実際に似ているところもあるからね。

 もっとも、力がいるコースが合うかどうかではなく、あくまで時計がかかるかどうかの話。実際に前々走は京都(りんどう賞=1分21秒4)で勝っているわけだし。まあ、一般的に阪神のほうが京都よりも時計がかかることが多いし、そういう意味ではプラスなのかもしれないけどね」

 言葉としては控えめだが、母ヤマカツマリリンの産駒すべてを管理し、この血統を知り尽くしているトレーナー。実は勝算アリ…なのかも。

「馬はだいぶ良くなってきて、1週前に乗ってくれた(武)ユタカ君は“ソラを使いませんでした”と言ってくれた。彼はこの馬で(未勝利戦を)勝ってくれたジョッキー。その手腕にも期待したいな」と最後にポツリ。これこそが本音ではないだろうか?

 池添兼調教師に限らず、俗に言う“ゆかりの血統”を「特別」と語る調教師は多い。

「騎手時代も愛着を感じることはあったけど、調教師になってからのほうが間違いなく上だね。騎手が馬に関わるのは早くても2歳から。でも、調教師は当歳時から見ているわけだし、それが自分の管理馬だった子や兄弟となると、それこそおなかにいるときから将来像を描いているものなんだよ。

 ハーツクライ産駒になる今回はどんな子が出てくるんだろうか? そんなことを想像して迎え入れた馬なんだから、自分の子も同然の気持ちになって当然かな」

 西浦調教師が「自分の子も同然」と表現した馬とは阪神JFの主役候補ウーマンズハート

 ビールジャントを祖に持つ母系の多くを管理してきたトレーナーは、この系統の魅力を「どこかで頭打ちになり、成長が止まってしまったのかなと思うときがあるけど、そこから再浮上し、さらに成長していく。素晴らしいスピードを持っていることも大きいが、一番の魅力はこの成長力だと思っている」。

 爆発的な末脚で新馬→新潟2歳Sを制したウーマンズハートに頭打ちの日が来るとは想像しづらいが、仮にその日が来てもあきらめてはいけないし、その日が永遠に来ないようなら、彼女はとてつもない“怪物”となるのかも。

「間違いなく言えるのは、これまでのこの血統の馬たちとは全然、違うということ。見た目の雰囲気も走らせてみたときの印象も。もちろん、古馬になってから、という血統の特徴はこの馬も受け継いでいるはずだけどね」(西浦調教師)

 久々に興奮の週末を迎えることになりそうだ。

(栗東の本紙野郎・松浪大樹)

東京スポーツ

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