1日に発表された交流GI
全日本2歳優駿(18日=川崎ダ1600メートル)の
JRA出走予定馬および補欠馬の決定はある意味、「運命の瞬間」だった。
中央でオープンまで上がった2歳世代のダート馬はここを逃すと、来年2月23日の
ヒヤシンスS(東京ダ1600メートル)まで使うレースがない。入るか、補欠に回るかは、大げさに言えば、天国と地獄ぐらいの差がある。
「最終的に出走馬が決まるのはもう少し先なので、情勢を待ちますけど、入った馬は全部使ってきそうですからね。正直、きついです。この時期はやはり芝のクラシックを目指してほしいということなんでしょうけど…」
この声の主は目下、新馬→
もちの木賞と無傷の連勝中ながらも、補欠1番手で
全日本2歳優駿選出を逃した
レーヌブランシュを管理する橋口調教師。上位馬でやめる馬が出なければ、放牧に出し、前出の
ヒヤシンスSを目標にするという。
一方、補欠2番手となった
タガノビューティーの西園調教師が取った策は違った。1日が登録の締め切りだった
朝日杯FSにすかさずエントリーを決めたのだ。
「本当は全日本(2歳優駿)を使いたかったけどね。補欠2番手ではまず順番も回ってこないだろう。この後はしばらく使えるレースもないから」
これだけ聞くと“後ろ向きな出走表明”と取られても仕方ないが…。
「
アジアエクスプレスも全日本に使えず、朝日杯(2013年)に回って勝ったでしょ。ウチのはあの馬と同じ
ヘニーヒューズ産駒なんだよ。それに
タガノブルグ(芝3勝、14年
NHKマイルC2着)、
アイトーン(芝現3勝)…上に芝で活躍している馬もいるからね。災い転じて福となす…ってならないかな」(西園調教師)
もうひとつ、買いたくなる根拠がある。新馬に続き連勝を飾った前走の
プラタナス賞(東京ダ1600メートル)時、鞍上の石橋はスタート部分の芝の走りについて、レース後にこんな感想をトレーナーに漏らしたのだとか。「そのままだと、ひっかかるぐらいのスピードで前に行ってしまいそうだったので、あえて抑えました」と。
過去2戦とも前残りの展開になりながらも、後ろから最速上がりでねじ伏せたレースぶりから、
タガノビューティーに重賞級のポテンシャルがあるのは間違いないところ。あとは「ダートで34秒台の上がりを使える馬でしょ。芝で1秒詰まれば33秒、2秒詰まれば32秒台だから」という西園調教師の期待が現実になれば…。
アジアエクスプレスに続く“芝転向V”のシーンが見られるかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ