今週の中山メイン・アメリカJCCに
クロスケ(近9走すべてダートに出走)の名前を見た時、
畠山吉宏調教師が2週前に漏らした言葉が頭をよぎった。
「ダート路線のオープン馬は中央で不要ということなんでしょうか」
トレーナーが、ため息をつく理由も理解できる。2週前の
ポルックスS(中山ダ9ハロン=フルゲート16頭)は実に39頭がエントリー。師が管理する
ローズプリンスダムは18番目の出走決定順で除外になった。
「(昨年9月に)オープンを勝ってさえ、次に使える保証がない。それが芝路線との決定的な違いですよね。降級制度がない現状では、出走機会が削られる一方。地方に転キュウするオープン馬も続出するんじゃないですか」
優先出走権が発生するのは「前走から5週後の投票→除外」から。つまり、収得賞金の少ない馬は2か月に1走できれば御の字という現状である。オープン馬はサラブレッドにおけるエ
リートだが、(
JRAの)ダート馬の扱いのぞんざいさは今回、
クロスケの登録にも象徴されていないだろうか。
さて、対照的に少頭数になりそうなアメリカJCCで、当方が馬券的に注目するのは復活気配がひしひしと漂う
ラストドラフトである。
「
弥生賞までは馬の気持ちに任せて前に行く競馬が続きましたが、中団から伸びた前走は、それ以降に差す形を教えてきたことが生きた形。折り合いも十分ついていたし、距離を延ばせる確信も得た走りでした」
斎藤良則助手がこう語るように、前走・
中日新聞杯は8番手から直線鮮やかな伸び脚。直線半ばで先団をのみ込んで大楽勝かと思われたが、先頭に立ったところで物見をして内にヨレたのが誤算(アタマ差2着)だった。
とはいえ、対策は十分に練られている。連続騎乗するオイシン・マーフィーは中間も再三コンタクトを取っており、感心したのは併走馬を並ぶ間もなくかわした1週前追い切りの意図である。
「戸田先生と相談して調教の中で抜け出す練習を試みたが、突き抜けても変な面を見せず集中していた。心身ともにすごくいい状態で実戦が楽しみ」と鞍上は同じ轍を踏まぬ構え。デビュー2戦目でGIII
京成杯を制した超エ
リートが、冬の中山で再び輝きを取り戻すシーンに期待しよう。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ