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次元の違う強さ見せたチュウワウィザード/川崎記念回顧(斎藤修)

  • 2020年01月30日(木) 18時00分
 チュウワウィザードが直線で楽に後続を突き放し6馬身差の圧勝。1頭だけ能力の抜けた馬がいる場合、2着以下は必ずしも能力通りの着順にはならない。まさにそんなレースだった。真っ向勝負を挑んだ対抗格の有力馬は力の違いで跳ね返されて失速、一方で着狙いの伏兵は溜めていた脚を使って上位進出、そんなパターンだ。

 逃げると思われたヒカリオーソがスタートでタイミングが合わず中団から。それでむしろ最初の3コーナーまでの先行争いが激しくなった。抜群のスタートを切ったチュウワウィザードはすぐに控えたが、アナザートゥルースが行く気を見せ、しかしケイティブレイブが譲らなかった。

 2番手、3番手からでもレースができるケイティブレイブだが、今回は1番枠で包まれるのを嫌ったのだろう。3コーナーに入ってもペースが緩まず、最初の100mが7秒0のあと、11秒1、11秒6と、11秒台のラップが2つ続いた。

 それでもスタンド前の直線で流れが落ち着けばよかったが、スタート後に行き脚がついたミューチャリー、連れて進出したチュウワウィザードがぴたりと追走し、道中もペースがそれほど緩むことはなかった。

 そのうしろにいたデルマルーヴルは、チュウワウィザードを負かしに行く気満々。1周目ゴール板の手前あたりではチュウワウィザードに並びかけようかという勢い。そのプレッシャーは向正面まで続き、それでレースの展開が早くなった(念のため、ペースが速くなったわけではなく、早くなったのは仕掛けのタイミング)。

 ケイティブレイブにとっては、デルマルーヴルに抵抗して前がかりとなったチュウワウィザードにプレッシャーを受けることになり、息が入るところがなく3コーナーで早々と苦しくなってしまった。

 8歳になって前年ほどの勢いはなくなっていたミツバ、さらにアナザートゥルースにも、この流れは厳しかったのだろう。ケイティブレイブよりも早く、向正面で追走一杯になってしまった。

 チュウワウィザードは、そもそもの能力の高さに加え、相手次第、流れ次第でどこからでもレースができるのが強み。今回はデルマルーヴルに来られたら来られたぶんだけ前に出て、それでもなお余裕があった。それが他馬を圧倒しての6馬身差。チャンピオンズCでは上位3頭の争いに加われず4着に敗れていたが、5歳でまだ15戦という戦歴だけに、その差を詰める可能性はありそう。

 そもそもチュウワウィザードにとってチャンピオンズCの中京1800mは忙しい。実際、浦和2000mのJBCクラシックではオメガパフュームを負かしているように、2000mかそれ以上の距離ならそれほど差はないのではないか。さらに小回りコースの長距離戦でこそ能力を発揮するタイプにも思える。

 スタートで出負けした災いが福と転じたのがヒカリオーソ。無理に前を追いかけていくことはせず、腹をくくって中団から。向正面中間、ミツバアナザートゥルースが下がり始めたのと入れ替わるように進出を開始した。

 そのぶん、直線で使える脚を残していての2着。レースの上り3Fと勝ったチュウワウィザードの上りが同じ39秒0で、ほかに39秒台の上りはヒカリオーソ(39秒7)だけ。3着以下はすべて40秒以上の上りを要していて、勝ち馬を目標に先行した馬たちの流れがいかに厳しかったかがわかる。

 冒頭で触れたとおり、真っ向勝負を挑んで3着に屈したのがデルマルーヴル。グリムにクビ差まで迫った白山大賞典や、3コーナーでまだ離れた5番手という位置取りから差し切った名古屋グランプリなどのレースぶりから、この馬も2000mを超える長距離戦に適性があるように思える。

 4着は、積極的に2番手からレースを進めたミューチャリーケイティブレイブが3コーナーで後退したところで先頭に立ち、さすがにその時点で、勝ったチュウワウィザードとは手応えの差が歴然だったが、直線半ばで脚が上りながらも3着デルマルーヴルにクビ差は評価できる。

 中団から直線の切れ味勝負で結果を残してきたミューチャリーが今回は2番手で先行し、一方、逃げるか2番手から早め先頭で重賞4勝を挙げたヒカリオーソが今回は中団から直線脚を伸ばして2着という結果は興味深い。

 勝ち馬は別次元の強さだったが、明け4歳の期待馬2頭が、ともにこれまでとは違うレースぶりで中央勢と互角に戦えたということでは、今後のダートグレード戦線でさらなる活躍を期待してもよさそうだ。

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