人気の一角、2番人気の
ヴァンドギャルドが出遅れ、スタンドがどよめいた。が、内の2番枠からの発走で、ペースもさほど速くなかったのですぐリカバリーして中団に取りついた。
それを尻目に
モルフェオルフェがじわっとハナに立ち、
クルーガー、
レイエンダ、
サトノアーサーらがつづく。
横山典弘の13番
クリノガウディーも内に入ってきて、楽に好位を進んでいる。
そこから2馬身ほど離れた中団の内に、
ミルコ・デムーロの
プリモシーンがいる。「すごい手応えがよかった。ずっと乗りたかった馬。道中の流れは完璧でした。自信がありました」とデムーロ。
プリモシーンの2馬身ほど後ろの外には1番人気の
レッドヴェイロンがつけている。
3、4コーナーで先頭の
モルフェオルフェが後ろとの差をひろげ、直線へ。
ラスト400mを切ったところで、
クルーガーと
レイエンダが併せ馬の形で伸び、
モルフェオルフェをかわした。一方、
サトノアーサーが伸びつづけたことにより、
プリモシーンの前方がクリアになった。手を動かして仕掛けながらスペースができるのを待ったデムーロの冷静なエスコートにより、
プリモシーンはスムーズに加速をつづける。内も外も伸びる馬場状態だったので、直線で馬群が比較的バラけることを、デムーロは見越していたのだろう。
ラスト200m。内から伸びてきた
クリノガウディーと、
クルーガー、
レイエンダが激しく叩き合う。その外から
プリモシーンが素晴らしい脚で伸びてくる。「この馬は最後の脚が切れる。能力が高いですね」
そう話したデムーロの叱咤に応え、
プリモシーンが半馬身抜け出し、先頭でゴールを駆け抜けた。キャリア14戦で、これが通算4勝目。
フェアリーステークス、
関屋記念につづくマイル重賞3勝目となった。
(文:島田明宏)