午前中降っていた雨は上がり、芝コースのコンディションは稍重まで回復していた。9頭立てとなった第54回
共同通信杯のゲートが開いた。
5番の
アジュバントが2馬身ほど立ち遅れた。先手を取ると見られていた1番のエンは控え、2番の
ビターエンダーがじわっとハナに立った。
2番手はエン。外の3番手は
ココロノトウダイ。
フィリオアレグロ、
シングンバズーカ、
クリストフ・ルメールの
ダーリントンホールらがつづき、1番人気に支持された
武豊の
マイラプソディはそこから1馬身半ほど遅れた外目につけている。
ほぼ一団となった馬群の、ほとんどすべての馬がやや行きたがり、掛かり気味になっている。
「ぼくの馬はフットワークが大きくて、ちょっと掛かる。パワーがあるので、大事なのは
リラックスさせること」と、
ダーリントンホールにテン乗りとなったルメール。
前半800m通過は50秒5。1000m通過は1分3秒2というスローな流れになった。
ビターエンダーが先頭のまま3、4コーナーを回り、直線へ。
勝負どころで押し上げた
ダーリントンホールは、前を行く
ビターエンダーとその内のエンの間に進路を取った。
ラスト400m地点。
ダーリントンホールと
ビターエンダーが併せ馬の形で抜け出しをはかる。
マイラプソディは大外から追い上げようとするが、まだ4、5馬身は遅れている。
ラスト200mを切った。
ダーリントンホールと
ビターエンダーが後ろを離して叩き合う。
「2着馬との戦いになった。ぼくの馬はずっと
ファイトして一生懸命走った。東京の直線は長いので、いい脚を使うことができた」とルメール。
2頭が首の上げ下げとなってフィニッシュ。
ダーリントンホールが鼻差だけ前に出ていた。
2着は
ビターエンダー、4馬身離れた3着は
フィリオアレグロ、
マイラプソディは4着だった。
テン乗りでありながら、ロングスパートでの叩き合いに強いことを見越していたかのような、ルメールの騎乗が冴えた。
マイラプソディは、スタート前からややテンションが高かったことと、別定の57kgもややこたえたか。
(文:島田明宏)